意外と知らない!『芭蕉』と『バナナ』の違いをズバリ解説

意味の違い

あなたは『芭蕉』という植物を知っていますか?この植物は一見『バナナ』にそっくりな姿をしており、この植物は『バナナ』であると勘違いして食べようとする方もいるそうです。そのため、今回は『芭蕉』と『バナナ』の違いについてまとめてみました。

『芭蕉』

  • 分類 :バショウ科バショウ属の大型多年草
  • 原産地:中国
  • 生息地:熱帯・温暖地。日本でも繁殖している

『芭蕉』は英名ではジャパニーズバナナと言われていますが、原産地は中国です。また、原産地が中国であるということから分かるように、寒さに強い植物のため、日本の温暖地でも栽培されている植物です。

バナナによく似た実をつけるため、一見食べられそうにも見えますが、種が非常に多く、また、タンニンと呼ばれる渋みを感じさせる成分が入っており、食用には適しません。しかし、追熟という果実を収穫後一定期間置くことで甘さを増す方法をとれば食用にすることもできるそうです。

繁殖方法にも違いがあり、芭蕉はランナーと呼ばれる匍匐茎を伸ばして繁殖する植物で、ミントやイチゴと似たような繁殖方法を取り、日本では主に庭等の観賞用として植えられることが多かったそうです。

日本でも繁殖するその性質からその歴史は古く、沖縄では13世紀頃にこの植物を用いた工芸品が作られていました。その中でも芭蕉布と呼ばれる織物が特に有名で、かつては琉球王国がその生産の推進をするほどの重要産業でしたが、残念ながら、現在では安価かつ短時間で生産できる化学製品に押され、今ではほとんど作られることはなくなってしまいました。

しかし、1974年には国の重要無形文化財としてこの布作りが登録されており、現在でもその保護と普及に取り組んでいます。また、布以外にも紙作りの原料になったり、布作りに適さない葉の部分は沖縄各地の獅子舞の獅子の毛として使われています。このことから、この植物は特に沖縄の文化に密接に結び付いた植物と言えるでしょう。

『バナナ』

  • 分類 :バショウ科バショウ属の大型多年草
  • 原産地:熱帯アジア、マレーシア等
  • 生息地:熱帯地

『バナナ』は熱帯アジアやマレーシア等の熱帯地にて生息する植物で、古くから主食として使われてきた植物です。寒さに弱い性質のため、日本等の温帯気候では栽培できません

栽培されているバナナの多くは私達が普段食べている生食用と実が非常に硬く、加熱しなければ食べられないブランテンバナナと呼ばれる加熱用のものに分けられます。私達は普段生食用のものしか食べないことから、その方が一般的だと思っていますが、生食用のものと加熱用のものとの生産量の割合は3:1程度であり、国によっては加熱用のものの方がメジャーな国もあります。

繁殖方法としては、茎の一部を他の土地に挿すことで繁殖する挿し木と呼ばれる方法が主に使われており、原産地である東南アジアから世界中に広まったのはこの繁殖方法があったからということが言われています。

元々種のある植物であったこの植物が突然変異により種の無いものが現れ、それを人間が栽培化したことがこの植物の始まりだと言われています。前述の挿し木にて増えるという性質から、東南アジアからインドへ、インドからアフリカへ、アフリカからアメリカへとその繁殖範囲を広げていきました。

日本では明治時代から輸入されており、当時は一般庶民にはとても食べられない果物でした。大正時代からは一般庶民でもなんとか購入できる程度の値段になりましたが、まだまだ高く、現在でいうメロンのようにお見舞いや特別な日にしか食べられない果物でした。その状況は戦後もしばらく変わりませんが、1963年の輸入自由化から安価に手に入るようになり、現在の姿になりました。

まとめ

以上、今回は『バナナ』と『芭蕉』の違いについて解説しました。

『バナナ』は、熱帯地方で栽培され食用として食べられるもので、『芭蕉』は、温帯地方で栽培されて食用には適さないものと考えていいと思います。基本的に私達が日本で『バナナ』を見たと思ったらそれは『芭蕉』ですので、勘違いをしないようにしましょう。