同じじゃなかった?!『やきとり』と『焼き鳥』の違いとは

意味の違い

串に肉を刺して火で炙ってある料理は『焼き鳥』ということが全国的に見れば多いでしょう。しかし、地域によっては『やきとり』と明記していることがあります。漢字かひらがなかというだけの違いですが、意味にも違いはあるのでしょうか。

『やきとり』

  • 意味:食材を一口大に切っていくつかを串に通して炙り焼きにしたもの。
  • 使い方:私の生まれの地域では豚のやきとりをよく食べます。

『やきとり』は「主に肉などの食材を一口大に切って串に刺して炙り焼きにしたもの」を指します。

「とり」という言葉から「鳥」を想像してしまいますが、必ずしも鶏肉を使用するわけではありません。一般には一口大に切った食材を使って串焼き料理のことを指し、特に地域によって特別な食材によって作られたものを意味することがよくあります。九州の北部では牛肉がよく用いられますが、熊本県や宮崎県などの九州中南部では馬肉が用いられるのが特徴です。

北海道では地域によって豚肉や鶏肉のもつの串焼きを意味することもあります。地域によって肉の部位だけでなく、食べ方にこだわりがある場合もある特定の料理を指すことがあるので注意しましょう。このように地域によって独特の意味を示しているときには、その地域では気軽に楽しめる家庭料理として人気があることが多く、居酒屋などで食べるのはその一つの形でしかありません。

『焼き鳥』

  • 意味:鶏肉を一口大に切っていくつかを串に刺して炙り焼きにしたもの。
  • 使い方:今週もこれで終わりだからみんなで焼き鳥を食べに行きましょう。

『焼き鳥』は「鶏肉を切って串に刺して焼いて炙り焼きにしたもの」です。

漢字で表記することによって鶏肉を使っていることが明確になっています。このように表記すれば全国的に鶏肉の串焼きという意味で広く理解してもらうことが可能です。ただし、その食べ方にも地域性があり、タレをつける文化もあれば、塩で食べる文化もあり、味噌や醤油、わさびといったものも用いられる場合があります。

また、一口大に切るというのは近年になって生まれた習慣であって、丸焼きであっても串焼きにしていれば該当するというのが事実です。一方、地域によっては串焼きにしていなくても鉄板焼きすら『焼き鳥』と呼んでいることがあります。使用されるのは鶏肉に限定されますが、もも肉や胸肉だけでなく、もつやハツなどの臓物を使用する場合も含んで用いられ、場合によっては鶏以外の鳥の肉も示す際にも使用される言葉です。

『やきとり』と『焼き鳥』の使い分け例

『やきとり』と『焼き鳥』の違いは串焼きにするものが鶏肉かどうかが重要になります。

「やきとりを食べに行こう」というときにはその地域での『やきとり』を食べに行くということになり、地域によって鶏肉の場合もあれば豚肉や牛肉、馬肉あるいは臓物を意図していることになります。一方、「焼き鳥を食べに行こう」という場合にはその地域に独特の『やきとり』があるかどうかにかかわらず、鶏肉の串焼きを食べに行こうと誘っていることになるのです。

「この地域で『やきとり』と言っているものは、私の出身地ではやきとんと言います」という表現もできます。豚肉を串焼きにしたものは「やきとん」と呼んで『焼き鳥』や『やきとり』と区別している地域もあるのです。その際に、豚肉の串焼きを『やきとり』と呼んでいるという話を聞くと、このような話をすることになるでしょう。「私は『やきとり』は豚肉の串焼きのことだと思っていた」というときには『焼き鳥』は使用できません。『焼き鳥』はあくまで前提として鶏肉を用いているものだからです。

まとめ

同じ読み方をするから紛らわしいのが『やきとり』と『焼き鳥』ですが、漢字に意味があると考えるとわかりやすいでしょう。『やきとり』は主に肉を串に通して炙り焼きにしたもので、『焼き鳥』はその中でも鶏肉を使ったものを指しています。