ガンの原因はどっち?『タール』と『ニコチン』の違いを解説

意味の違い

タバコに含まれている有害成分が多数知られるようになりました。ガンの原因になる物質も多数ありますが、違いがわかるでしょうか。『タール』や『ニコチン』は喫煙によって摂取してしまう問題の成分ですが、何が身体に良くないのかを区別しておきましょう。

『タール』

  • 意味 :有機物に熱を加えることで生じる粘稠性の高い液体。
  • 使い方:コークスを作るときには必ずタールができてしまいます。

『タール』は「有機物を高温で加熱処理することによって生じる粘性の高い液体」です。黒色から褐色になっていて、基本的には単一の成分ではありません。タバコに火をつけた場合には、タバコに含まれている有機物が加熱されて生じる様々な物質の混合物です。

数千種類もの物質が含まれていると言われていて、その中には身体に対して害をもたらすものも確認されています。代表的なのがベンゾピレンやジメチルニトロソアミンといった発がん性が確認されている物質です。この他にもキノリンやトルイジンなどの様々な有機物が含まれていて、それぞれが様々な形で身体に対して悪影響を及ぼすとされています。

喫煙をしていると必ず吸った際に体内に入ることになってしまうもので、粘性が高いことから身体の中に貼り付いてしまってなかなか除去されないのが問題です。長期間に渡って喫煙を続けていると歯に色がついてしまうだけでなく、肺に溜まってしまってCOPDなどの呼吸器系の疾患のリスクをもたらすことにもつながります。ガンの原因になるだけでなく、その他の疾患のリスクも高めてしまう可能性が高いのです。

しかし、喫煙をやめることによって徐々に自浄作用によってきれいになっていきます。病気になってしまう前にタバコをやめることが勧められているのはたとえ喫煙をしていて肺などに『タール』が吸着してしまっていたとしても、その害から逃れることができるからなのです。

『ニコチン』

  • 意味 :タバコなどに含まれるアルカロイドの一種。中枢神経系で作用して快感をもたらす。
  • 使い方:タバコがやめられないのはニコチンが含まれているからです。

『ニコチン』は「タバコなどに含まれている中枢神経に作用があるアルカロイドの一種」です。複数の成分からなる『タール』とは異なり、単一の成分を指しています。

小さい分子で揮発性が高く、吸収性も高い液体です。喫煙をすると揮発して煙と一緒に吸い込んで体内に取り込まれます。血液中を循環して中枢神経系に達すると、受容体に作用することでドパミンを放出させ、快感をもたらすというのが知られている作用です。

快感がもらされることによって、またタバコを吸いたいという気持ちに駆られるようになり、依存症の原因となることがわかっています。禁煙をしようとしても断念してしまうのは依存症が生じてしまっている影響が大きく、特に身体的依存が生じていると無理にやめることによって禁断症状が出てしまう危険性があるでしょう。そのため、依存症になってしまった場合には少しずつ摂取量を減らしていくという工夫が必要です。

しかし、『ニコチン』そのものには高い毒性があるわけではなく、過剰摂取をしなければ大きな影響を及ぼすものではありません。ただし、身体の中で代謝されることにより発がん性があるニトロソアミンを生成することが知られているため、摂取によってガンのリスクを高めることにつながります。

タバコの発がん性の一端を担っているものですが、より作用として深刻なのは依存性を生む原因となることだと知っておくと良いでしょう。

まとめ

タバコに含まれる有害成分とされる『タール』と『ニコチン』は本質的に別物です。

『タール』は有機物を加熱したことにより生じる粘稠性の高い油状物質で、ガンや他の病気の原因となる成分が含まれています。『ニコチン』はタバコに含まれる成分の一つとして、依存症を生みやすいことが問題になるものです。