ややこしい!『戦争』『紛争』『内戦』の違いと使い分け例

意味の違い

争いごとが起こると登場する言葉として『戦争』『紛争』『内戦』の三つがあります。国家の問題として取り上げられるようなレベルの争いごとではうまく使い分けられていますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

『戦争』

  • 意味:国家間の闘争によって生じる武力による争い。
  • 使い方:領土拡大を目指して隣国に戦争を仕掛ける。

『戦争』は「国家間で行われる軍事力を用いた争い」を示す言葉です。

国と国の衝突によって起こるのが特徴であり、軍事侵略が行われたり、軍事以外の部分での衝突が重なって摩擦が起こってきたりしたのが原因になって勃発することがあります。

自国の利害関係を考えて宣戦布告や奇襲によって始まり、やはり利害を考えて応戦せざるを得ないという状況で互いに武力を講師し続けることになるのが一般的です。必ずしも二国間である必要はなく、第一次世界大戦や第二次世界大戦のように世界中の国が参加することになるケースもあります。どちらかが敗戦を認めない限りは防衛の意図もあって必ず継続され、敗戦した側は国民の人材的にも経済的にも大打撃を受けて復興が難しくなることがほとんどです。

国境を越えての争いなのが基本ですが、戦争が行われている間に内部で軍閥が分裂を起こすケースもあり、並行して国内での争いが起こる場合もあります。

『紛争』

  • 意味:複数の者が対立して起こす武力による争い。
  • 使い方:小国で起こった些細な紛争に他国の軍事介入が起こって大戦争になる。

『紛争』は「複数の者の間で起こる武力による争い」を一般的に表す言葉です。

『戦争』は国家間での武力による争いであり、これも複数の者による対立とみなせることから該当しています。また、国内で行われる武力争いである『内戦』も含有している幅の広い表現です。ただし、規模としては小さいという印象を与えることが多く、『戦争』や『内戦』が勃発する前に起こる小規模の武力衝突という意味合いがあります。小規模であるために短期間で収束することも珍しくありません。

しかし、言論のみによる闘争とは異なり、武力行使が行われることで人的あるいは物的損失が生じることになり、勃発した際には必ず被害が発生してしまいます。単純に規模で使い分けられる場合もありますが、『戦争』や『内戦』の入り口となり得るものであったにもかかわらず、長期化せずに済んだ事例を『紛争』と呼ぶこともあるので明確な境界線はありません。

『内戦』

  • 意味:一つの国の内部で起こる武力による争い。
  • 使い方:軍事問題が原因で内戦が発生した。

『内戦』は「国内のみで行われる武力による争い」です。

政治的に不安定になっていたり、経済的な不安が広まったりしたときにクーデターや人民の暴挙によって勃発することがあります。数日で収拾がついた場合には『紛争』あるいは「内紛」とされる場合がありますが、規模が大きくなって長期化すると『内戦』と呼ばれるのが一般的です。

勃発を契機にして他国が介入することもよくあります。それが事態の収拾につながる場合もありますが、介入した国の利益問題もあってかえって規模を大きくしたり、さらに他国の介入が起こったりして『戦争』にまで発展することもあったのが事実です。一国の内部での争いであれば規模にも期間にも限度があるため、『戦争』に比べると長期化しにくいものの、軍事力ではなくとも資金や資源による援助が行われることで長期化する場合もあります。表面的な武力衝突は国内だけであっても、水面下では他国の関与があることも珍しくありません。

まとめ

国の規模での武力争いは『紛争』が原点となることがほとんどです。小規模であった『紛争』が国境を越えた大規模な武力争いになると『戦争』になり、一国の内部でだけ規模が拡大されていくと『内戦』になると覚えておくと使い分けができるでしょう。