意外と知らない!『風邪』と『インフルエンザ』の違いとは

意味の違い

皆さんは風邪とインフルエンザの違いご存知ですか?おそらく何となくこれら2つの言葉を使っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、風邪とインフルエンザの違いを詳細を含めてわかりやすく解説していきます。

『風邪』

風邪は別名感冒とも呼ばれています。鼻、のど、気管支などの粘膜に起こる炎症性の病気を総称して呼びます。また、正式には風邪症候群という名前がつけられています。

ウイルスの上気道(鼻やのどなどの空気の通り道)感染によるものが多く、一般にインフルエンザとは区別されています。

ウイルスは細菌よりも小さく、通常の顕微鏡では見ることはできません。単独では生命活動を営むことができないので、ヒトなどに寄生して生活・増殖しています。さらに、かぜを引き起こすウイルスは数100種類以上と言われています。

俗にいう「夏かぜ」は夏に流行する風邪で、暑さや湿気を好むアデノウイルスなどが原因となることが多いです。

逆に「冬かぜ」は寒さや乾燥を好むRSウイルスなどが原因となることが多いです。かぜの多くの原因は疲労、寒冷などの気候やストレスに関係しています。症状はのどの痛み、鼻水、関節痛、微熱、頭痛などで、ときにはおう吐や下痢、腹痛などの胃腸症状が現れることもあります。

しかし、通常は2次感染(他の病原体による感染)がなければ休息をとれば、1週間以内に軽快します。現在のところかぜの治療法は症状を和らげる対症療法しかありません。例えば、熱を下げる薬、痰を出しやすくする薬、胃薬などです。かぜをひいたのでお医者さんに行って抗生物質をもらって来ようと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、抗生物質はかぜの原因であるウイルスには効き目がありません。

ただし、かぜの症状が1週間たっても重く軽快しない場合には2次感染が考えられるのでお医者さんは抗生物質を処方するかもしれません。かぜはウイルスによる感染で、上気道感染を主な症状とし通常は1週間以内に軽快します。

『インフルエンザ』

インフルエンザは別名、流行性感冒とも呼ばれています。風邪と同じくウイルス感染によるもので、インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患です。

普通の風邪と違い1日から3日の潜伏期間を経て突然の高熱や関節痛、全身倦怠感などの全身症状が強く表れ、重症化しやすい疾患です。特に、抵抗力の弱い小児や高齢者、糖尿病やがんなどの持病をお持ちの方は重症化しやすく毎年死亡者も出ております。

日本では毎年11月下旬から感染患者が出始め、12月から3月にかけて患者数のピークを迎え、4月ごろには患者数は減少します。

病原体のウイルスには大きく分けてA型、B型、C型がありワクチンが開発されていますが、残念ながら100%感染を防げる保証はありません。その理由はウイルスは容易に微細構造を変化させることができるので、ワクチンがその対応に追い付かないのが現状です。

ウイルスは咳やくしゃみの際の飛沫によって感染が広まります。その感染力の強さから厚生労働省の指定感染症に分類されています。近年、迅速簡便な検査キットが開発されたため、必要に応じて病院の外来で容易に診断することが可能になりました。

治療には、従来では症状を和らげる対症療法が中心でしたが、現在では、発症後48時間以内であれば症状を経過させ、治癒を早める効果のある抗ウイルス薬が認可され、治療のための1つの選択肢となりました。ただし、神経障害などの副作用が現れる場合もあり注意が必要です。

インフルエンザは風邪と違い全身症状も強く、また治癒にも時間がかかります。予防が大切で日頃から手洗い・うがいを徹底し病気に負けない体力づくりを心掛けることが大切です。

まとめ

風邪もインフルエンザもウイルスを原因とする疾患で細菌に対して効果を示す抗生物質は効きません。風邪は年間を通して見られる疾患であるのに対して、インフルエンザは冬季に発症することが多いです。

両者の明確な違いは、症状の進行の速さです。インフルエンザの場合、突発的に38度以上の発熱があり、全身倦怠感、寒気、関節痛など全身状態が急激に悪化します。日頃から予防を心掛け、体力づくりを目指しましょう。