どう区別する?『梅雨』と『雨季』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

雨が多い時期になるとこの季節を何と表現しようかと悩むことがあるでしょう。よく用いられるものに『梅雨』や『雨季』がありますが、どちらを使ったら良いのでしょうか。示している内容の違いがわかれば簡単に使い分けられます。

『梅雨』

  • 意味:5月から7月頃にかけて到来する雨や曇りの多い期間。
  • 使い方:今年も6月になって梅雨がやってきた。

『梅雨』は日本を中心とした東アジアにある『雨季』の一つに相当する「5月から7月頃にかけての雨が多い時期」です。日本では北海道と小笠原諸島を除く全域で毎年発生する気象現象であって、東アジア地域の気候の特性が原因になって発生します。日本に限らず、中国の沿岸部や台湾などでも起こる現象です。

天気の状態としては曇りがちになって雨が続きますが、しばしば「中休み」と呼ばれる雨の少ない時期もあるのが特徴です。気候の状況によっては存在しない年もあり、太平洋高気圧の勢力が強いと雨の多い時期に入らず、オホーツク海高気圧の勢力が強いと雨の時期から明けないという状況が生まれます。しかし、このような状況になるのは数年に一度程度となっていて頻度はあまり高くありません。

5月から7月頃にかけて一ヶ月半ほど続くのが『梅雨』の特徴です。9月から11月頃に発生する雨の多い時期は秋雨と呼ばれて区別されています。

『雨季』

  • 意味:一年のうちで降水量が多い時期。
  • 使い方:カリフォルニア州には雨季と乾季がある。

『雨季』は「一年間のうちで降水量が多く、雨が続く時期」です。一ヶ月以上の期間は毎日のように雨が降り続きます。

『梅雨』はその一種として日本や東アジアで5月から7月に観測される気象現象です。日本の場合には秋雨も該当し、世界的にも地域に応じた独特の雨季があることがよくあります。アフリカのように3月から5月頃と11月から12月頃に二度到来する地域もあれば、アメリカのカリフォルニアのように12月から4月頃に一度だけ起こる地域もあり、その地域の気候によって状況が大きく異なるのが特徴です。

また、毎年やってくる時期であるというのが特徴であり、たまたまある時期に雨が降り続いたからといって該当するわけではありません。日本を例にするなら、12月に一ヶ月近く雨が降り続いたとしても、それは毎年起こることではないのでたまたま雨が多かったという表現が正しくなります。季節性がある表現であると理解しておくと良いでしょう。

『梅雨』と『雨季』の使い分け例

『梅雨』は『雨季』に含まれるものであり、日本では5月から7月にやってくるものという理解をしておけば使い分けをすることは難しくないでしょう。

「日本の梅雨は蒸し暑い」というときには夏の前にやってきた雨の時期は気温も高めで湿度も高くて暑いという意味があります。それに対して「日本の雨季は蒸し暑い」という場合には時期が梅雨であるとは限らず、残暑が厳しい秋雨の時期に蒸し暑いという話題になっている可能性もあるのです。

一方、「台湾の梅雨」とは言えますが、「アフリカの梅雨」と言うことはできません。あくまで『梅雨』は東アジアで起こる気象現象であり、他の地域の『雨季』に対して活用できる表現ではないからです。また、『雨季』の対義語として『乾季』がありますが、『梅雨』に対しては対義語がありません。

対比表現をしたいときには「日本には雨季はあるけれど乾季はない」という話をした方が「日本には梅雨はあるけれど乾季はない」というよりも賢明でしょう。誤っているわけではありませんが、使い分けをした方が印象の良い表現になります。

まとめ

日本で雨が多い時期を示そうと考えると『梅雨』か『雨季』かと悩むこともありますが、『梅雨』は5月から7月にある東アジアに独特の『雨季』ということを覚えておけば区別できます。降水量が多い毎年やってくる時期が『雨季』だという点も合わせて覚えておきましょう。