干支と十二支はほぼ同じような意味で使われる傾向がありますが、それぞれは本来別のものを表しています。今回はそうした違いに触れながら起源の説明も加えて両者の線引きを明らかにしていきます。参考にしていただければ幸いです。
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『干支』(えと)
- 意味 :十干と十二支を組み合わせた数詞のこと
- 使い方:今年の干支は丙申(ひのえさる)
意味は十干と十二支を組み合わせた数詞をあらわします。
十干の代表的なものは、きのえ(甲)、つちのと(己)、かのえ(庚)などがあります。十二支の代表的なものは、ね(子)、うし(丑)、とら(寅)とこれは私たちにもなじみの深いものなどです。これらを組み合わせて、きのえね(甲子)やひのえざる(丙申)とします。どれでも組み合わせていいものではなく、順序は決まっていて60通りの組み合わせがあります。1周すると60年です。
ちなみに、2017年はひのととり(丁酉)になります。また、発音の仕方にも2つあります。「えと」と「かんし」です。どちらでよんでも問題はありませんが、起源的には「えと」とよむ方がより適切です。「えと」はもともとは十干のことをあらわし、語源的には平安時代に隆盛を極めた陰陽道が関係しています。陰陽道の「陽」を意味する「兄(え)」と「陰」を意味する「弟(と)」がそれぞれ末尾にあることから呼び名がつきました。
たとえば、十干の丙(ひのえ)や辛(かのと)などのように末尾がかならず「え」と「と」で終わっています。そうしたことから呼称がついたわけですが、時代が経過するとともに十干と干支も「えと」と読むようになりました。
つまり、本来的には十二支を含みません。使い方は「2016年の干支は丙申ですね」と言うときなどです。ちなみに、世間一般では「十二支」の呼称として用いる人もいますが、これは明らかに誤用ですので注意しましょう。
『十二支』(じゅうにし)
- 意味 :暦法において子(ね)、丑(うし)、寅(とら)などの12の動物の総称であり、年を数えるときの数詞
- 使い方:今年の十二支は申年
意味は子(ね)、丑(うし)、寅(とら)などの12の動物の総称で、年を数えるときに用いられていました。それぞれの年を特定の動物が代表しています。また、生まれ年の動物が自分自身のシンボルにもなります。子年であればネズミが自身をあらわす動物です。
古くから日本にあった考え方ではなく古代中国思想に起源があり、古代の頃に日本に伝わってきて定着するようになりました。もともと木星の位置を示すための数詞でした。木星は1周するのに12年かかります。そこから主に年を数えるときに用いられていましたが、民衆にもこのことを覚えさせるために動物をあてはめていきました。そうして、現在のように各々の年にひつじ、さる、とりなどの動物がシンボルになったというわけです。
同じようなものに干支もあります。歴史的事件として有名な壬申の乱は、その事件が起きた年が壬申だからです。他にも、幕末の戊辰戦争や中国で起きた辛亥革命も同様です。しかしながら、十二支は年だけでなくほかにも幅広い使い方もされていました。たとえば、方向をあらわすときなどです。南を指すときには「午(うま)の方向」、東を指すときには「卯(う)の方向」と言っていました。
使い方は年賀状や新年の挨拶で「2016年の十二支は申年ですね」などです。最近では干支と混同されることが多くなりましたが、言葉を厳密に使用するのであれば、それは誤用になりますので気をつけたいところです。
まとめ
干支と十二支がそれぞれ別のものだということがお分かりいただけましたでしょうか。本来別々のものが同じ意味を表すようになっていくのは語源的には面白い現象ですが、話すときには正しい言葉遣いをしていきましょう。