空を飛んでいる乗り物があったときに、あれは『飛行機』だという人もいれば、『航空機』だという人もいます。日常生活の中ではあまり区別されていないことも多いですが、定義上の違いを理解しておくことは大切です。
『飛行機』
- 意味:動力によって推力を得て、固定翼によって揚力を得ることにより大気中を飛行する機器。
- 使い方:飛行機に乗って日本からアメリカに渡る。
『飛行機』は「大気中を飛行できるように設計された機器の中で、動力によって推力、固定翼によって揚力を得ているもの」と定義されています。
平たく言ってしまえば、機器の胴体の他に固定された翼があって揚力を稼いでいることに加えて、エンジンなどが設置されていてそれによって動いている『航空機』です。大気中を飛行できるものの中にはグライダーのように動力を持たないものもあります。
固定翼がなくてもプロペラの回転によって揚力を稼ぐことができるヘリコプターもあるでしょう。このようなものは大気中を飛行できても『飛行機』には分類されません。一般的な旅客機や戦闘機のように翼とエンジンがついているものが該当します。翼の数や形状、動力の種類、推進方式などによって分類されう場合もありますが、基本的には固定翼と動力が揃っていれば同じ分類になるのが現状の定義です。
『航空機』
- 意味:大気中を飛行するために設計された機器。
- 使い方:航空機を飛ばす際には国境に注意しなければならない。
『航空機』は「大気中を飛行するための機器」を総称している語として定義されています。『飛行機』もその中の一つです。
定義も国や組織によって様々になっているものの、概して大気中を航行することができる機械を指しています。分類に関してもばらつきがあるため、目的に応じて適切な分類をする必要があるのが特徴です。日本においては人が乗ることを前提としている飛行用の機械として定義されています。そのため、無人で使用する飛行機は該当しません。また、ロケットや気球なども日本での定義からは外れています。
しかし、これが世界的に同じように認識されているわけではないことには留意しましょう。例えば米国では人が乗ることを前提としていないものも含めて、大気中を飛行することを目的にしている機械であれば該当するとされていることから、無人飛行機なども含まれる定義になっています。定義が複数あることに注意しなければならないのが『航空機』です。
『飛行機』と『航空機』の使い分けの例
『航空機』の中に『飛行機』が含まれていると考えると区別することはそれほど難しくありません。
『空に飛行機が見える』というときには翼を持っていて動力が付いている旅客機や戦闘機が飛んでいる様子を表します。それに対して「空に航空機が見える」という場合には旅客機や戦闘機のこともありますが、ヘリコプターやグライダー、飛行船を示す可能性もあるのです。
『飛行機の設計を仕事にする』という表現をするといわゆる旅客機のような形の機械を設計している姿を想像することになりますが、『航空機の設計を仕事にする』という場合にはヘリコプターなども含めて考えなければなりません。また、新しいコンセプトによる『航空機』の設計をすることを仕事にしているという印象を与える場合もあるでしょう。
「飛行機には乗ったことがないけれど、航空機には乗ったことがある」という表現はできますが、「航空機には乗ったことがないけれど、飛行機には乗ったことがある」と言うことはできません。『飛行機』が『航空機』に含まれる包含関係があるからです。
まとめ
大気中を飛んでいる乗り物を示す言葉は包含関係を考えると簡単に区別できます。『航空機』の中でも固定翼と動力を持っているものが『飛行機』です。ただし、『航空機』には様々な定義があることには注意しましょう。