文章を記す言葉には、『記入』『記載』『記述』があり、契約書や書物などによく出てきますが、これらの違いを知っていますか?
今回は、『記入』『記載』『記述』の3つの意味の違いと使い分けについて解説していきます。
『記入』『記載』『記述』の違いを見分ける時の参考にどうぞ。
『記入(きにゅう)』
- 意味:所定の書類に文字や数字を書き込むこと
- 使い方:マークシートに記入する、保険加入用紙に記入する
『記入』が『記載』や『記述』と違うところは、書き込むことだけを意味することです。
『記入』は、テスト用紙や申し込み用紙などに決められ枠があります。そこに、氏名や住所などの文字、電話番号や誕生日などの数字、性別などのチェックなどがあり、必ずしも文字だけを書くわけではありません。
また、マークシートを塗りつぶしたり、アンケートの解答用紙に丸やチェックマークをつけることなどにも使用されます。そのため、アンケートなどの重要でないものを書く場合にも使われます。
ただし、履歴書に書き込むことは、『記入』と『記載』どちらも使われる場合があるようです。しかし、嘘の学歴や職歴を書いたときは、「虚偽記載」が正しい使い方です。
『記載(きさい)』
- 意味:本や新聞、WEBなどの他者に見られるものに記し載せること
- 使い方:冊子に記載される、戸籍に記載されている
『記載』が『記入』や『記述』と違うところは、書類や本、WEB上などに文章が残ることです。これは、言葉を書き記した後に、自分以外の他者に見せることを重要としています。
そのため、書類や本、WEB上に書かれた文章には、著作権が発生します。WEB上に書かれている文章を新たにブログなどで引用するときは、引用元の許可を取り、出典元を書かなければなりません。
また、誰かに見せる文章のため、その内容は大切なことが書かれている場合が多いです。テレビなどの電化製品を購入したときについてくる取り扱い説明書にも、「詳しくは○○ページに記載」とよく書かれています。
ちなみに、新聞や書籍において誤った文章が乗せられている場合は、「記載漏れ」などが正しい使い方です。
『記述(きじゅつ)』
- 意味:言葉を連ねて文章にし、書き記すこと
- 使い方:実験レポートを記述する
『記述』が『記入』や『記載』と違うところは、必ず文章で書くことです。テスト問題などでよく使用されます。
学生のころに受けた試験問題には、記述式とマークシート方式があります。記述式とは、解答を書き入れる方式で、この場合は必ずしも文章と限りません。マークシート方式とは、解答を選択する方式で解答を書き入れる方式と比較されます。
ちなみに、問題に対して自身で考えたことを文章に構築して解答を書くことは、論述式です。これは、書き入れる方式の一部の解答方式です。
さらに、見たり聞いたりしたことをすぐさま書くことや過去に体験したことなどの事実を正確に読みやすく記し述べることなどの意味があります。そのため、考えをまとめて、書き記した後に自分で確認するための文章を書くときに使用される場合があります。
まとめ
以上今回は、『記入』『記載』『記述』の意味の違いと使い分けについて解説しました。
- 『記入』・・・所定の書類に文字や数字を書き込むこと
- 『記載』・・・本や新聞、WEBなどの他者に見られるものに記し載せること
- 『記述』・・・言葉を連ねて文章にし、書き記すこと
『記入』はとりあえず書き込むこと、『記載』は他者のために書くこと、『記述』は自分のために書くことと考えれば、違いを理解しやすいのではないでしょうか。
『記入』『記載』『記述』はいずれも、文章を記すことに使われる単語ですが、アンケートを作成したり、ビジネスメールを送ったりなどの文章を使うシーンのときは、この違いを正確に理解しておくと良いでしょう。
違いを理解することで、相手に違和感を与えることがなくなります。
これを機会に、『記入』『記載』『記述』の3つの意味の違いを理解し正しい日本語を使っていきましょう。
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