古代ローマ時代に誕生したお菓子、「フラン」をご存知でしょうか?見た目がプリンに似ていることもあり、どんな違いがあるのかを知りたい人もいるようですね。
そこで今回は、フランスやスペインの代表的なフランのお菓子についてや異なる点、作り方についても調査しましたので、皆さんにご紹介していきます。
このページの目次
フランのお菓子とは?
プリンのような焼き菓子である「フラン」について、探ってみましょう。
フランスでのフラン
フランスのフランは、濃厚でとろっとした口当たりと、もっちりとした弾力感が特徴のお菓子。フランスでは子どもからお年寄りまで、幅広い世代から支持されている国民的スイーツです。
卵・牛乳・砂糖・コーンスターチ・薄力粉などを使ってカスタードクリームを作り、甘さ控えめのタルト生地に流し込んで香ばしくオーブンで焼き上げます。「フラン」はアプリコットやココナッツを加えた甘いアレンジや、野菜・きのこを入れて洋風茶碗蒸しのように仕上げることも可能です。
スペインでのフラン
スペインでの「フラン」は、日本のカスタードプリンに似たデザートで、甘くてねっとりとした固めの食感が特徴。高温で蒸し上げるため、内部に「酢」が入ることもあり、それが独特の食感を生み出します。
たっぷりとかけられるほろ苦いカラメルソースとのコントラストが絶妙で、家庭の定番デザートとして長く親しまれているようです。日本のプリンよりも力強くてしっかりとした味わいで、1口ごとに濃厚さを感じられます。
フランとプリンの違いは?
フランスで馴染みのある「フラン」と、「プリン」の違いを探ってみましょう。
プリンとの違い
見た目が似ているフランとプリンですが、誕生の地が違います。フランは、鶏卵の生産が開始されたローマ時代に誕生。ギリシャ人の調理方法を参考に、鶏卵と牛乳を使用した料理が、ローマ人により創作されました。フランの原型「ティロパティナム」は、最初に生まれたお菓子です。
一方でプリンの原型「プディング」が初めて作られたのはイギリス。船員が船上で野菜や肉を加えた卵液を蒸して、作っていたようです。それが、カスタードプディングとして日本に伝わり、呼び名が「プリン」に変わって定着し、親しまれるようになりました。
作り方の違い
フランとカスタードプリンの材料は、だいたい同じですが、作り方の違いによって異なる食感になります。フランは卵や牛乳・砂糖に加え、コーンスターチや薄力粉などを混ぜたカスタードをタルト生地に流し込み、オーブンで焼き上げるため、仕上がりはどっしりと濃厚です。
一方でカスタードプリンは、蒸し器でじっくり蒸すので、なめらかでとろけるような口当たりに仕上がります。プリンはほろ苦いカラメルソースをかけて楽しめる点が、フランと異なる魅力です。
アレンジの幅の違い
フランとプリンの違いの1つは、アレンジの幅。プリンよりもアレンジの幅が広いフランは、甘くない料理としても楽しまれています。砂糖を使わずに、野菜・きのこ・チーズ・ベーコンなどを加えることで、食事系の一品に変化させることが可能です。
日本ではフランス料理の前菜として提供されることも多いですが、本場フランスでは冷蔵庫にある材料で作れる家庭料理として親しまれています。フランはデザートだけでなく、料理としても楽しめる料理です。
カスタードフランの作り方も紹介
フランスやスペインの代表的なお菓子「フラン」の作り方について、紹介しましょう。
パートブリゼを作る
基本的なパイ生地の1つである、「パートブリゼ」の作り方について解説します。
材料や生地づくりの手順
カスタードフラン作りは、パートブリゼから準備。材料は、薄力粉120g・塩2g・グラニュー糖10g・発酵無塩バター65g・全卵15g・冷水10gです。まずは、バターを1cm角程度にカットして、全ての材料を冷蔵庫で冷やします。フードプロセッサーに薄力粉・塩・グラニュー糖を入れて軽く回して混ぜましょう。
そこに冷やしておいたバターを加え、さらさらの粒状になるまで撹拌します。次に、全卵と冷水をあわせてプラスし、小刻みに回して生地をまとめてください。ラップに生地を包んだら、冷蔵庫で3時間から一晩休ませます。
生地のばしや焼く手順
生地を休めたら、3mmの厚さにのばしてから冷蔵庫で30分以上冷やし、マンケ型(15~16cm)に敷き込みましょう。このとき、生地を引っ張らずに、底へと押し込むように優しく敷きこむのがポイント。敷き込んだ後は、さらに30分以上冷蔵庫で冷やします。
フチからはみ出た生地はナイフで切り落とし、底に穴を開けておいてください。190℃に予熱したオーブンで、タルトストーンをのせて20分焼き、ストーンを外してさらに10分空焼きに。焼けたら型に入れたまま常温に置いて、アパレイユの準備ができるまで待機させます。
アパレイユを作る
ベースとなる「アパレイユ」の作り方について、1つずつ見ていきましょう。
クリームを作る手順
アパレイユを作るには、まずボウルに卵黄60gとグラニュー糖60gを入れてよく混ぜ、そこに薄力粉25gを加えてさらに混ぜます。別の鍋で牛乳250gを温め、先ほどの卵黄のボウルに少しずつ注ぎながら混ぜ、茶こしでこしながら鍋に戻しましょう。
この液を中火にかけ、絶えずかき混ぜながら加熱していきます。とろみがついてかたくなってきても、すぐに火を止めないようにしてください。クリームがもったりとしながらも、少しゆるんでやわらかくなるまで、しっかりと炊き上げるのがポイントです。
クリームの仕上げや焼く手順
先ほどの鍋の火を止めたら、発酵無塩バター30gとバニラペースト小さじ1を加えて混ぜ合わせ、なめらかなクリーム状に仕上げてください。クリームが出来上がったら、あらかじめ空焼きして常温に置いていたパートブリゼにすべて流し入れます。
最後に180℃のオーブンで約30分、焼き色がつくまでしっかり焼けば、カスタードフランの完成です。
まとめ
今回の記事では、ローマ時代に生まれたフランのお菓子を中心に、プリンと異なる点や作り方について紹介しました。
フランとプリンは、誕生した地が違うことに驚きましたが、日本には「カスタードプディング」として伝わったようですね。両者の違いを十分に理解して、カスタードフランの作り方を参考に、味わってみましょう!