『アーティスト』と『ミュージシャン』、どちらも音楽の番組などでよく耳にする言葉ですね。
この二つ、実際には違いがあるということですので、今回はそれぞれどのような意味や使い方があるのかを、見ていきましょう。
『アーティスト』
- 意味:自身の芸術活動が社会的に広範に認知された人。芸術家。
- 使い方:メイクアップアーティスト、フラワーアーティスト
日本では音楽活動を行っている人を対象にこのような呼び方をすることも多いですが、海外では一般的に、芸術分野におけるプロを総称した呼び方となっています。
もちろん、音楽分野でも作曲家、作詞家、歌手などを『アーティスト』と呼びますし、美術、映像、著作、茶道や華道、書道、ダンスなど様々な分野においても活躍している人はこう呼ばれています。
日本での使われ方はやや独特で、大衆音楽においても歌手や演奏者を崇拝した結果、『アーティスト』という呼び方をしていますので、この言葉を聞いて音楽関係者を連想する人がほとんどです。
ただ、世界的に言えば、音楽に限らず幅広い分野で使われている言葉ですので、注意しましょう。
『ミュージシャン』
- 意味:作曲や演奏をする人。主に演奏者と製作者に分かれる。
- 使い方:ロックミュージシャン、ストリートミュージシャン
『アーティスト』が芸術全般を対象としているのに対し、『ミュージシャン』は音楽関係に限った使い方をされています。
なお、演奏者だけでなく、歌手もこちらに該当していますし、作詞家もこう呼ばれることがあります。つまり、音楽という芸術に関わっているということから『アーティスト』の音楽の分野におけるプロを『ミュージシャン』と呼んでいることになります。
日本では、どちらかというと作曲者や音楽プロデューサーなどをこう呼ぶことはほとんどなく、表舞台で演奏をしたり歌を歌う人を『ミュージシャン』と認識していることが多いです。
また、演歌や民謡、雅楽、長唄などの日本古来の伝統的な音楽の演奏者には使われていません。
『アーティスト』と『ミュージシャン』にも…
音楽に関わる人の呼び名は、他にもいろいろあります。
- 歌手・・・歌を歌う人
- シンガーソングライター・・・自分が歌う曲のほとんどを自らが作曲する歌い手。作詞のみを手掛けている場合には対象外
- ボーカリスト、歌い手・・・歌手と同じ
現代音楽では、作詞作曲を担当している製作者サイドよりも、表舞台で歌ったり演奏をしている人が最も注目されることから、いろいろな呼び名があります。
とはいえ、厳密な使い分けはなされておらず、音楽のジャンルや、そのバンドや歌手が自分で決めている呼び方などに合わせて使い分けています。
演歌などは日本語の方がなじみやすいため、『歌手』、『歌い手』と呼ばれることが多いですが、現代音楽を歌ったり演奏している人は、自身のことを『シンガーソングライター』、『ボーカリスト』、『ミュージシャン』などと名乗ることが多いです。
まとめ
いかがでしょうか。重なる意味合いのところもありますが、よく見ると内容が異なるということがわかりますね。
- アーティスト・・・芸術全般のプロ
- ミュージシャン・・・音楽関係に関わる人
このように理解しておくと、海外でも間違える心配はありませんね。
『アーティスト』という呼び方は、その分野において職業として成り立っており、さらに知名度が高いプロを指すことが多いため、どちらかというと尊敬の念を込めて使われます。
一方、『ミュージシャン』は、日本では趣味でバンドをしているようなメンバーでも自称していることがあり、比較的くだけた使い方をされています。
なお、インディーズや趣味のバンドであっても、きちんとライブをしたりCDを売るなどして収入を得ている場合には、プロとして認められますので、『ミュージシャン』でも間違いではありません。