長い間、日本の大学では『教授』『助教授』の肩書きが定着していましたが、いつの間にか『准教授』という肩書きが登場してきました。
いったいこの両者の肩書きの違いには、どのような意味があるのでしょうか?そのあたりを、少し探ってみたいと思います。
『准教授(じゅんきょうじゅ)』
- 意味:優れた知識・能力・実績を有する者で、学生を教えたり自らの研究を行う大学教員、英語ではAssociate Professor(アソシエート・プロフェッサー)に相当
- 使い方:○○准教授(大学教員の肩書き)
『准教授』とは、2007年4月に学校教育法が改正されたことによりできた、新しい大学教員の職位です。
この肩書きは、この法律改正によって、それまで『助手』→『助教授』→『教授』と定められていた大学教授の職位が、『助手』→『助教』→『准教授』→『教授』へと変わったことによって、新しく生まれました。
『准教授』は専攻分野のキャリアの豊富さによってのみ、より上の職位の『教授』と区別されています。『准教授』という肩書きは、教授の次の地位にある研究者であるという意味を、それまでの『助教授』より明確にした職位です。
『助教授(じょきょうじゅ)』
- 意味:教授の職務を助ける大学教員(2007年4月の学校教育法改正で廃止)、英語ではAssistant Professor(アシスタント・プロフェッサー)に相当
- 使い方:○○助教授(大学職員の肩書き)
『助教授』とは、前述のとおり、以前に使われていた肩書きで、現在は使われてはいません。
『助教授』は旧来の法律では大学職員でありながら、「教授の職務を助ける」とだけ定義されていて、その立場があいまいにされていたのです。
実質上「助教授」は一人前の研究員であり、学生を指導する立場にありながら、定義上は英語でいうAssistant Professor(教授の助手)に過ぎないという、少し困った面がありました。
2007年の法律改正に伴い、それまで『助教授』と名乗っていた教員の大半は、新しくできた『准教授』という肩書きを名乗るようになりました。
結局、『准教授』と『助教授』はどちらが偉いの?
『准教授』と『助教授』では、その定義から判断すると『准教授』の方が偉いことになります。
特に、海外の学会などでは准教授(Associate Professor:教授に準じる者)と名乗ることと、助教授(Assistant Professor:教授の助手)と名乗ることでは、その立場は大きく違ってきます。
しかし、実は日本の国内の大学において、この両者の役割には実質的な差はありません。どちらも教授の下にある職制で、自分自身の研究をしながら学生を教えることが仕事です。
しかも、前述のとおり、2007年の学校教育法の改正で『准教授』が新しく定義されて『助教授』が廃止されたため、この両者の肩書きを比較することは意味がありません。
現在『助教授』の肩書きを名乗る者は日本の大学にはいないため、この単語はいずれは消滅してしまうことになるでしょう。
まとめ
以上より、2007年4月の学校教育法改正によりそれまでの『助教授』の職位が廃止され、『准教授』という新しい職位が定義されたこと、定義上は『准教授』の方が偉いけれど、実質的な意味はそれほど変わらないこと、この両者を比較するのは、意味がないことがはっきりしました。
特に海外の学会においては『准教授』つまりAssociate Professorは一人前の独立した研究者として扱ってもらえるのに対し、『助教授』つまりAssistant Professorは教授の助手と誤解されかねない立場だったので、准教授の方が助教授よりも偉い肩書きであることは英語の定義より明らかです。
また『助教授』は現在は使われていない肩書きであることも判明しました。法律改正以前『助教授』と名乗っていた大学教員の大半は、法律改正後は『准教授』と名乗っています。