今さら聞けない!『国定公園』『国立公園』の意味の違いを解説

意味の違い

国定公園と国立公園の違いは、管理を行っている団体の違いです。国立公園は国が直接管理をしているのに対して、国定公園は都道府県が管理しています。どちらも自然公園法に基づいてその自然環境の保護や利用の促進が図られています。

『国定公園』

  • 意味:日本において国立公園に準じる景勝地として自然公園法に基づいて環境大臣が指定した公園。都道府県により管理される。
  • 使い方:明治の森高尾国定公園

国定公園は、その自然が有する価値に基づいて環境大臣が指定した公園で、都道府県により管理されています。その歴史は1950年に琵琶湖・佐渡弥彦・耶馬日田英彦山の3つが指定されたことから始まります。これまでに64件が指定されてきましたが、途中で国立公園に昇格したり、編入されたものもあるため、現在は57の国定公園が存在します。この制度は日本独自のもので、海外にはありません。州立公園などは州そのものが指定する主体になります。

国立公園と比べて政策に基づくケースが多く、都心部の自然を保護する目的のために指定された公園も存在します。本来は既存の自然を保持するために国が指定しますが、先に保護をすることで自然環境を向上させようという狙いがあります。

また、それぞれの自治体により運動や意識のレベルに差があり、指定にばらつきがあることも特徴です。例えば日本アルプスでは、中央アルプスだけが指定された公園がありません。また、日本三景として有名な宮島や天橋立はそれぞれ指定されていますが、松島は未指定です。そのため、自然の貴重さがそのまま指定に直結するわけではないと言えます。

国立公園に比べ定義が広いことも特徴で、1990年に指定が一旦終了しましたが、その後に人間と自然の関係を基にした文化的景観の考えが浸透し、人間によって作り出された景観も指定の対象になりました。その例として天橋立があります。

『国立公園』

  • 意味:日本を代表する自然の風景地を保護し、利用の促進を図る目的で環境大臣が指定する自然公園。国が直接管理する。
  • 使い方:富士箱根伊豆国立公園

国立公園は世界各国に存在するもので、世界最大のものは1974年にアメリカで指定された北東グリーンランド国立公園です。世界にはおよそ7000箇所あり、世界的な定義としては特別な自然現象の保護を主目的として管理される地域とされています。日本では1934年に瀬戸内、雲仙、霧島の3つが指定されました。戦前に台湾や韓国で指定された公園もあり、それらは日本の統治権が消滅したことから、現在は32箇所が存在しています。

利用の促進を図る目的がありますが、あくまでも自然や景観を保護することを目的としていますので、観光地化しないための配慮がなされています。公園内にはキャンプ場や国民休暇村、ハイキングコースなどが併設されているケースがありますが、それらは集団施設地区と呼ばれる公園やレジャーに使用できる範囲を限定した場所の中に存在します。

特別地域や特別保護地区については、自然の態様を変える可能性がある行為には許可が必要になります。特別保護地区の規定は特に厳しく、動植物の捕獲や採取、種子をまく事や動物を放つこと全てに許可が必要になります。学術目的や地方自治体によるもの以外には申請しても許可が出るケースはほとんどなく、事実上は禁止されていると言って良いでしょう。

国定公園に比べ、より厳格に自然の価値に基づいた指定がなされていることと、より厳しい規制がかけられていることが特徴です。

まとめ

国定公園も国立公園も身近な存在ですが、見ただけで違いはわからないものです。

  • 国定公園…国の指定により都道府県が管理する自然公園。
  • 国立公園…国が直接管理する自然公園。管理体制が厳格。

管理している団体は異なりますが、自然を保護する気持ちは変わりません。かけがえのない自然環境を守っていきたいものです。