“おもう” という漢字には『思う』と『想う』がありますが、両者の意味の違いにはどのようなものがあるのでしょうか?
今回はそのあたりについて調べてみました。使い分ける時の参考にどうぞ!
『思う』
- 意味 :自分の脳の中で感じる心。
- 使い方:美味しいと思う、自分の思い通り、やっとの思いで
『思』という漢字は「田」と「心」から成り立っており、「田」の語源は「(子供の)脳」です。したがって、「思う」=「自分の脳の中で感じる心」を意味します。
「田」を使った四字熟語で「我田引水」(他人のことを考えず自分に都合がいいように言ったり行動したりすること)といった使われ方もしますよね。
自分が感じることなので、図で表すと「→→●←←」のように矢印は自分自身に向きます。『思』を使った漢字に「思考」「思案」「意思」などがありますが、これらは全て自分の脳で考えていることです。
「(自分は)こうだと思う。」「(自分は)そうは思わない。」など、自分の意見や自分が感じたことに『思う』を使います。
『想う』
- 意味 :相手を想う心。感情が込もった “おもい”。
- 使い方:相手を想う気持ち、故郷を懐かしく想う、愛する妻を想う
『想』という漢字は、「相」と「心」から成り立っていることから、『想う』=「相手を想う心」を意味します。感情を込めたい時やある対象を想像して思い浮かべる時に使います。
相手を想う感情が込められているので、図で表すと「●→→→→」のように矢印はその対象に向かいます。『想』を使った漢字には「回想」「空想」「理想」などがありますが、これらは全てある対象を想像(イメージ)して思い浮かべていますよね。
「好きな人を想う」「故郷の母への想いを伝える」「片想い」…といったように『想う』は思慕(しぼ)の情や恋焦がれる気持ち(愛情)など、自分の感情をより強く伝えたい時に使うと良いでしょう。
『思う』と『想う』の使い分けの具体例
『思う』と『想う』の違いは、具体例を挙げるともっと分かりやすいです。下の二枚の写真を例に出して考えてみましょう。
例1
- 『思う』・・・「彼女は普通にかわいいと思う」
- 『想う』・・・「彼女を愛おしく想う」
『思う』は自分の意見であるのに対し、『想う』には強い感情が込められていますよね。
例2
- 『思う』・・・「故郷はやはり良いところだと思う」
- 『想う』・・・「故郷を懐かしく想う」
『思う』は自分の考えですが、『想う』には望郷の念が込められています。
このように『思う』と『想う』は、上記のように使い分けることができます。何となくでも違いがイメージできましたか?
まとめ
以上今回は、『思う』と『想う』の意味の違いと正しい使い分け方を解説しました。
- 『思う』・・・自分の脳の中で感じる心。
- 『想う』・・・相手(ある対象)を想う心。
両者の違いを理解できると、例えば以下のような文章も正しく漢字で書けるようになります。
例「彼の “おもい” はきっと彼女に届いたと “おもう”。」
→「彼の “想い” はきっと彼女に届いたと”思う“。」
ちなみに、『想う』の方は常用漢字ではないため、正しい使い分け方を学校で習うことはありません。そのため、私たちは『思う』と『想う』の意味の違いや使い方が曖昧になっているのかもしれませんね。