ハッキリさせたい!『油』と『脂』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

『油』、『脂』はどちらも”あぶら”と読みます。これらを合わせて油脂というと”あぶら”全般のことになりますね。どちらも比較的日常でよく見かける漢字ですが、どのような違いがあるのか知っている人は多くはないと思います。『油』と『脂』の使い分けを知れば、周りの人にもちょっとした自慢ができるかもしれません。

『油』

  • 意味 :常温で液体のもの。主に植物性のものを指す。
  • 使い方:水と油、油を差すなど。

こちらは液状のものを差します。漢字の部首がさんずいなので、液体の”あぶら”を指すということは覚えやすいですね。脂より融点が低い(溶ける温度が低い)ので、常温でも液体で存在しているというわけです。

成分中に不飽和脂肪酸が多いものが油となります。不飽和とは、物質の元素の同士の結びつきに二重結合がある状態のことです。一重でも結合できるのに二重になっているという状態なので、比較的結合が外れやすく状態が不安定です。そのため、あまりエネルギーを与えなくても、すなわち、低い温度でも液体になってしまうのです。このような性質をもつ不飽和脂肪酸が多く含まれているために常温で液体となります。

キッチンなどで日常的に見ているものも、よくよく考えると割と高度な化学につながります。今回は化学的な詳しい原理などは専門書に譲ります。しかし、少しだけでもこのような秘密を知っておくと普段目にしている調味料たちを見る目が変わるのではないでしょうか。

『脂』

  • 意味 :常温で固体のもの。主に動物性のものを指す。
  • 使い方:脂が乗る、脂汗など。

こちらは固体のものを指します。漢字の部首はつきへん(にくづき)ですので、動物性のものを主に指すということは比較的イメージしやすいのではないでしょうか。油より融点が高い(溶ける温度が高い)ためにこちらは常温で固体です。

固形の”あぶら”は成分中の飽和脂肪酸が多い物質です。飽和とは、二重結合がなくしっかりとした結合からなる状態のことです。不飽和と違い、しっかりと結合していて安定しているのでちょっとのエネルギー(熱など)では液体になりません。このような性質により、常温でも固体の状態になるのです。

バターなどは常温で固体なのでこちらです。ちなみにマーガリンは固体ですが、成分的には不飽和です。高温処理や水素付加などにより加工して、安置性を向上させているのです。ですからマーガリンも常温で固体ですが、ほかのものとは少し性質が異なります。

この加工された成分が身体に与える影響はよく問題になっており、欧米では成分表示が義務化されています。

『油』と『脂』の使い分け例

油と脂のシンプルな使い分け方は液体か、固体かです

水と油では、油が液体だからこそ混ぜることができます。サラダ油やごま油は液体ですし、どちらも植物性の油です。絞ることができるのは、液体である『油』です。ことわざの『油を売る』では、『油』ですので、液体の脂を売っている様子を差していることがわかりますね。

牛脂などの脂は固体ですし、動物性です。魚に乗るのも『脂』ですし、私たちが描くのも『脂』汗です。動物にかかわるものは基本的には『脂』ということで大丈夫でしょう。中年男性が脂ぎっているときも、動物性の脂が分泌されているので『脂』を使いましょう。

身近な油脂はサラダ油やバターなどキッチンにあるものが多いと思います。不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸と、成分的にも異なる『油』と『脂』ですが、摂取する場合にどちらが良い悪いというものではありません。どちらも人間の体には必要です。
しかし、不飽和脂肪酸は摂取する機会が日常で多くなりがちですので飽和脂肪酸もほどよく摂取できるよう心掛けたほうが良いかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。これで『油』と『脂』の使い分けに困ることもなくなるのではないでしょうか。もし興味があれば化学的な違いについても詳しく調べてみるといい勉強になりますよ。使い分けに困っている人がいたらぜひ教えてあげてくださいね。