『竹』と『笹』の違いを知っていますか?どちらも日本の至る所にあるとっても身近な植物ですが、いざ両者の違いを考えると、なかなか出てきませんよね。
「同じものじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。そんな方のために、『竹』や『笹』の相違点を検証し、使い分けを考えてみました。
『竹』
- 意味 :イネ科タケ亜科に属する植物
- 使い方:「ー取物語」「ーのこ」
『竹』は、「イネ科タケ亜科に属する植物」と定義されます。
地中に埋もれた茎で成長、繁殖する植物で、大きなものは直径15センチ、高さ20メートルほどにもなります。日常生活で慣れ親しんでいる植物で、だれもが一度は見たことがありますよね。
語源は、「高い」や「丈」が転じてできたものとされており、非常に高さがあるのが特徴です。
しかし、高さだけが『笹』との違いではありません。「オカメザサ」は1-2メートルという低さから『笹』と認識され、名前にも「ササ」が入っていますが、「タケ」に分類されます。
植物学上において、『笹』との違いは、葉脈の模様、枝の出方、成長後の皮、育生地域、名称などの観点から区別することができます。
まずは、葉脈の模様です。
葉脈とは、水や栄養を植物全体に届ける通路のことです。葉っぱを光に透かして見ると、細かい線をみることができますが、それが葉脈です。
『竹』の葉脈は、縦横に線が走った格子状です。次に、枝の出方ですが、1つの節から枝が2本しか伸びないのが特徴とされています。
最後に、皮を見てみましょう。地面から出てきたばかりのときは、皮に覆われていますが、成長後、皮ははがれ落ち、茎のつるつるした部分のみになります。
大きな竹林などに行っても、成長したものは茎だけが生えていますよね。
また、寒冷地では育たないので、北海道など冬の天候が厳しい土地には生えてきません。北海道の「タケノコ狩り」は、別名「根曲がりダケ」と呼ばれる「チシマザサ」を取っています。
ほとんどは、中国やそのほかアジア地域の温帯・熱帯地方のものが多いようです。
さらに、名称も英語で「bamboo(バンブー)」と呼ばれます。厳密に言うなら、海外のバンブーと日本のものは地下茎や繊維において異なるので、「take(タケ)」と呼ばれることもあるようです。
『笹』
- 意味 :イネ科タケ亜科に属する植物
- 使い方:「ーの葉」「ー舟」「七夕に使うー」
『笹』は、「イネ科タケ亜科に属する植物」です。
見た目や成長過程がきわめて『竹』と近い植物であるため、広義では、『竹』の1種類として扱う説もあるようです。
こちらも、『竹』と同じく、日本人にとっては非常に身近な植物ですね。小さいころに、笛や船を作って遊んだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
語源は、「控えめに、わずかに」などを意味する「ささやか」の「ささ」から派生したと言われており、大きさとしては小さいイメージがあるようです。
しかし、一般的に「タケ」として認識されている「メダケ」は、大きいものでは8メートルにもなりますが、「ササ」に分類されるなど、例外もあります。
そのため、必ずしも小さいものが『笹』というわけではなく、大きさの基準は当てはまりません。では、植物学的観点から、『竹』との区別の仕方を見てみましょう。
まず、葉脈ですが、格子状の『竹』の葉脈と比較して、横に無数の線が走る平行状の模様になっているのが特徴です。
また、1つの節から平均して5-6本の枝が生えてきます。七夕を思い浮かべると、たくさん連なった無数の笹の枝に、短冊をかけていますよね。
さらに、成長後も皮がなくならず、茎に茶色く残っているのも竹と異なる点です。
また、北海道でも、積雪の下から生えてくるほどで、寒冷地での適応力があるのも特色です。
古来より存在する日本特有の植物で、日本語名をそのまま使用した「sasa(ササ)」という名前で海外でも呼ばれています。
まとめ
以上で検証したように、『竹』と『笹』は、異なるもので、植物学的に言えばたくさんの違いがあります。
しかし、単に言葉として使う際には、どちらの植物を使っても、『竹』=茎の部分、『笹』=葉っぱの部分としてよいとされています。つまり、『竹』の葉っぱの部分を使えば、『笹』と言っても大丈夫なのです。
どっちか迷った際は、どの部分に言及するのかという点に着目しても、使い分けができそうですね。