日本にはたくさんの山がありますが、その名前には『山』『岳』『峰』の三つの文字が使用されています。
これらにはどのような違いがあるのでしょうか。日常的な使い分けの必要性についてよく理解しておくことが大切です。
『山』
- 意味:平地よりも地形として高く盛り上がっている場所
- 使い方:富士山、山脈、山登り
『山』は日本に多い凸型の地形を指し示す言葉として最も多く用いられるものです。平地に比べると土地が盛り上がっている場所であり、傾斜した地形からなるのが特徴です。
起伏がしっかりとしていて、台地や丘陵などよりも高度が高いものを示すものとされています。日本にある過半数の山に使われている接尾辞となっているのも特徴として知っておくと良いでしょう。
今回紹介している三つの言葉の中で最も日常生活の中に溢れているの言葉であり、普段はこれを用いていれば問題はありません。しかし、他の言葉との違いもないわけではないため、意味の違いを正確に理解しておく必要があります。
特に区別が難しいのが『岳』であり、次にその違いについて比較をしてみましょう。
『岳』
- 意味:平地よりも隆起している地形、険しい山
- 使い方:剱岳、岳陽、岳人
『岳』の意味は平地から盛り上がっていて隆起している地形を指し示す言葉であり、定義を見る限りでは『山』と違いがありません。
実は山を示す言葉としてどちらも古くから利用されてきていましたが、その区別について統一的な定義が行われていないため、はっきりと意味を分けることができないのが現状なのです。
どちらが高いかということにも違いはないものの、一説には山が連なっている状態を示すのが『岳』であるというものがあります。また、漢字に着目すると山の上に丘があるということから、『山』とされる地形に比べて険しい地形を指していると考える説もあるのが実情です。
しかし、厳密には定義されているわけではないため、人によって使い分けをして、より険しく隆起している地形を示している場合があるという理解をしておくと良いでしょう。
『峰』
- 意味:山の尾根の付きだした部分
- 使い方:霧ヶ峰、雪峰、最高峰
『山』や『岳』とは異なり、『峰』はもともとは平地から隆起している地形を指し示す言葉ではありません。山の名称として接尾辞に利用されていることはよくありますが、この言葉だけで使用した場合には意味が異なります。
山の尾根を見た際に突き出している部分を指すものであり、山頂を意味することもあります。最高峰という言葉が使われるのは、同じ山の中でも最も高い部分を指し示すことができるからです。
また、頂上や天辺といった高いところを示す言葉であることから、山以外のものに対しても用いることがあるのが特徴と言えます。雲の最も高い場所を指す場合にも用いられ、刀剣や包丁、櫛などの背の部分を示すこともあると理解しておきましょう。
山と岳の区別に比べるとはっきりと使い分けができるでしょう。
まとめ
『山』『岳』『峰』はいずれも日本にある様々な山の名前の接尾辞として用いられていて、どれもが山に関わる言葉であるのは確かです。
しかし、単独で用いようとすると区別が難しいのが『山』と『岳』であり、意味の違いについては諸説あるのが実情となっています。
実際に使い分けをしようと考えると難しいことから、山の名前や熟語として用いられている場合を除いて『山』を使用しておけば日常的なコミュニケーションに困ることはありません。
しかし、人が表現するときには『岳』をあえて使う場合もあるという認識は大切でしょう。その場合には次のように理解しておけば大丈夫です。
- 山・・・平地に比べて高く盛り上がっている地形
- 岳・・・険しい山
- 峰・・・山の尾根の付き出した部分
このように分類して覚えておけば間違いのなく意味を理解できるようになるでしょう。