大きさで違う?!『船』と『舟』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

水の上を移動するための乗り物として”ふね”がよく知られています。これに当てられる漢字として『船』を最もよく見かけるでしょう。しかし、『舟』という漢字を当てることもできて意味にも違いがあるので注意が必要です。

『船』

  • 意味:人や物を乗せて水上を移動するための乗り物。特に大型のものを指す。
  • 使い方:船に乗って世界一周旅行をする。

『船』は「水上を利用して人や物などの運搬するための乗り物」を主に意味します。

『舟』との対比をする際に重要になるのが大きさであり、基本的には大型のものを指すのが特徴です。動力が人力ではなく機械式になっているのが一般的になっています。また、耐久性も高くて海を渡るような十分な頑丈さがあり、さらに長期的な航行にも耐えられるように整備されているものを指すことが多いでしょう。

広い意味では『舟』も含んでいますが、相手に与える印象に違いが生じる点に注意が必要です。大型で動力も造りもしっかりとしている水上の移動のための乗り物という理解をしておけば問題ありません。ただし、この他にも水やお酒などを入れるための器や、刺身などを盛り付ける容器を指す言葉として用いる場合もあります。水の上に浮かべて利用するものをたとえとして『船』と表現することもあるため、使用の幅は広いことには留意しましょう。

『舟』

  • 意味:人や物を乗せて水上を移動するための乗り物。特に小型のものを指す。
  • 使い方:渡し舟のある川は珍しい。

『舟』は「水上を利用して人や物を運搬するための乗り物のうちで小型のもの」です。

『船』と比べて小さいのが特徴として理解しておくと間違いがありません。素材には依存しませんが、動力は一般的には機械式ではなく、手漕ぎのものが一般的です。小型エンジンのついたボートも該当するという考え方もあるものの、明確な境界線があるわけではありません。手漕ぎで小型のものであれば該当するというのが確実な覚え方です。

湖の上に浮かべたり、川を渡したりするためのものであれば、手漕ぎになっているものも多いでしょう。これらを表現するときに適している言葉です。造りも簡素であることが多く、木製のものが多いのも確かと言えます。一般的には人や物の運搬を目的としているものを指しますが、さらに小型のもので人や物を乗せられないようなものを示すことも可能です。プールなどに浮かべるおもちゃも『舟』に該当するのです。

『船』と『舟』の使い分けの例

『船』と『舟』の区別は大きさと動力という理解をしておけば比較的簡単にできます。

「船に乗る貴重な体験ができた」という場合には、あまり乗ることのできない『船』に乗ることができたという意味になり、豪華客船や歴史のある大型船に乗船できたのだろうと印象を与えることになるでしょう。

それに対して、「舟に乗る貴重な体験ができた」という場合には、聞いた人が想像するのは小型の『舟』です。日常的にはあまり見かけられない手漕ぎの『舟』に乗って、湖上を遊覧したり、川を渡ったりする経験ができたということになります。国内の体験施設や発展途上国への訪問をしたのではないかと推察されることになるでしょう。

「船を作った」となると海を航海できるようなものを作ったという意味になりますが、「舟を作った」という場合にはDIYでもできるような小型のものを作ったか、あるいはお風呂に浮かべられるようなおもちゃを作ったという意味になるでしょう。このように大きさの違いによって、想像する内容についても違いが生じます。

まとめ

水の上を移動する乗り物である”ふね”は大きさによって漢字は使い分けることが大切です。大型のときには『船』、小型で手漕ぎのときには『舟』を用いましょう。ただし、『船』は小型なことを伝えれば『舟』の代わりにも使用できます。