ハッキリさせたい!『頂く』と『戴く』の意味の違いと使い分け

意味の違い

『頂く』と『戴く』、どちらも読みは『いただく』ですが、意味の違いをご存知ですか?

ここでは、普段気軽に使う言葉ではありますが、実際に文章にすると迷うことの多いこの二つの言葉の違いや使い方について、見ていきましょう。

『頂く(いただく)』

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  • 意味:大切にする、敬い扱う。ものをのせる。または、食べる、飲むの謙譲語
  • 使い方:お便りを頂く、初冠雪を頂く、食事を頂く

『いただく』と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはこちらの漢字ではないでしょうか。

この言葉は、いろいろな意味合いがありますので、どちらか迷ったときにはこちらを選べばよいという安心感もあります。ものを対象としているだけでなく、人に対しても、「会社のトップに~さんを『頂いて』社員一同で頑張っています」という言い方をすることもあります。

食事の謙譲語として使われるときには、自分が何かを飲食するときにこの言葉を用います。ただし、食事の前の挨拶である『いただきます』などは食べますという意思表示ではありませんので、漢字をあてずにひらがなで表記するのが正しいです。

また、お越しいただくやご足労いただくなどもひらがな表記です。

『戴く(いただく)』

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  • 意味:ありがたく受け取る。または、もらうの謙譲語。
  • 使い方:この上ない栄誉を戴く、珍しいお土産を戴く

辞書を見ると、『頂く』という意味で使われている常用外の漢字という表記にもなっていますが、意味合いとしては若干異なっています。『頂く』が行為に対して使われることが多いのに対し、『戴く』は物品に対して使われることが多いです

常用外の漢字ということもありますし、内容を見ても、普段使うには仰々しい意味合いにとられることもありますので、『頂く』を使う人も多いですが、正確にはものを受け取った時などはこちらの漢字を使います。

『頂く』とは異なり、大切にするといった意味は特にありませんので、栄誉や受け取った品物などを大切に保管しているという意味で使う場合、敬うという意味で使う場合などは『頂く』を使うようにしましょう。

『頂く』と『戴く』の使い分けの例

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  • お菓子を頂く:(自分が)お菓子を食べる
  • お菓子を戴く:お菓子をありがたく頂戴する

この場合、『頂く』は食べるの謙譲語として使われており、『戴く』はありがたく受け取るの意味で使われています。

前者は自分で用意したお菓子を食べているというシーンでも使うことができますが、後者は人から受け取るという意味合いで使われていますので、自分で用意したものではないことがわかります。

 

  • 表彰状を頂く:表彰状を大切にする
  • 表彰状を戴く:表彰状をもらう

この場合には、前者は大切にするという意味で使われており、その場でもらったわけではなく、受け取ったのちの取り扱いのことを表しています。

一方、後者はその場でもらったという意味の謙譲語として使われていますので、まさに今、自分以外の相手から表彰状という品物を受け取ったということになります。

まとめ

いかがでしょうか。似たように思える二つの言葉も、よく見ると内容が異なっているのがわかりますね。

  • 頂く・・・大切にする、敬う、頭にのせる、飲食の謙譲語
  • 戴く・・・ありがたく受け取る、もらうの謙譲語

基本的には何かをしてもらったときなどには『頂く』を使って問題はありませんが、品物をもらったときなどは『戴く』の方が適切な使い方となっています。

 

お中元やお歳暮など、品物を受け取った時にお礼状を書く機会もありますが、きちんと言葉を使い分けるようにしましょう。その際には、ひらがな表記の『いただく』に該当していないかもチェックしておく必要があります。

きれいな日本語を使うことができる人は、それだけで知性があり、上品な人に見えてきます。常用外の漢字も使いこなすことができれば、周囲の人よりもワンランクアップするでしょう。