『オペラ』『オペレッタ』『ミュージカル』の違いと使い分け例

意味の違い

総合舞台芸術と言われるものは『オペラ』『オペレッタ』『ミュージカル』の三種に大別できます。しかしこの三者の間の違いは何でしょうか。一般的な先入観に従うと『オペラ』は何となく古臭くて敷居が高そう、『ミュージカル』は新しい作品ばかりで観るのが楽しみ、『オペレッタ』はよく分からない、という感じになってしまいそうです。

そこでここではこの三者の相違点を、可能な限り明確にしてみたいと思います。

『オペラ』

  • 意味 :クラシックの声楽家が歌いながら演技をする音楽劇で、日本語では「歌劇」と訳されます。かつては総合舞台芸術の主役の役割を果たしていました。
  • 使い方:オペラ劇場は上流階級の社交場の役割も果たしています。

『オペラ』は16世紀末のイタリアで生まれ、ヨーロッパに広がって行った、歌と音楽と演劇と踊りによって構成される、三者の中では最も古い歴史を持つ音楽劇です。元々は王侯貴族など、社会の上流階級を主なお客とした芸術でした。

オペラは、衣装を着けた歌手が演技を行いながら、オーケストラの伴奏をバックにして、アリア(独唱)やアンサンブル(重唱)などの歌を歌い、演技をすることにによってストーリーが進行します。歌い手はマイクを使わすに、クラシック音楽独特の発声法を使って歌を歌い、演劇のような地のせりふは使わずにレチタティーヴォ(朗唱)という方法で会話を表現します。

演目は数限りないほどありますが、良く知られているものとして『カルメン』や『椿姫』そして『フィガロの結婚』などがあります。

『ミュージカル』

  • 意味 :20世紀になってアメリカで発達した、音楽、歌、台詞およびダンスのすべてをオペラより密接につなぎ合わせた、今日ではポピュラーな総合舞台芸術の様式です。
  • 使い方:世界のミュージカルの中心は、今でもニューヨークのブロードウェイです。

『ミュージカル』は、19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパ、特にオーストリアの首都ウィーンなどを中心として発展した『オペレッタ』がアメリカに移動し、より新しい形に変化した舞台芸術です。オペレッタはオペラと同じ音楽劇ですが、日本語訳で「喜歌劇」いうことからもわかるように、悲劇が多いオペラに対して軽妙な展開、より軽妙な展開でハッピーエンドの結末が多く、オペラより庶民的な娯楽として発展しました。

中心がニューヨークのブロードウェーに移るとこの傾向はさらに強くなり、演者はマイクを使って地声で歌い、ダンスの複雑なステップを踏みながら歌うなど、ミュージカル独特の様式も生まれました。歌と踊りはオペレッタ以上に複雑に入り混じって一体化し、より新しい試みがも次々となされ、現在に至っても変化と発展が続いています。

ミュージカルの初期の代表作としては『ショウ・ボート』や『回転木馬』、現代の作品に限れば『CATS』や『オペラ座の怪人』さらには『ライオン・キング』などがあげられます。その他にも『サウンド・オブ・ミュージック』、『マイ・フェア・レディ』など、作品は枚挙にいとまがありません。

『オペラ』と『ミュージカル』の使い分け例

『オペラ』も『オペレッタ』も『ミュージカル』も共に音楽(特に歌)とダンスと演劇の要素が入り混じった総合舞台芸術です。そして、『オペラ』の音楽はすべてクラシック音楽で、『ミュージカル』で使われる曲は、すべてポピュラー音楽です。

両者の中間的な形態の『オペレッタ』も存在していますが、これはオペラのひとつの変種で一応クラシック音楽に属しています。ただし、後期のオペレッタと初期のミュージカルは互いに区別をすることが困難である、という一面もあります。

しかしはっきりしていることは、総合舞台芸術は『オペラ』→『オペレッタ』→『ミュージカル』の順番で発展した、ということです。そして今日でも新作ミュージカルは次々に生まれています。

個々の演目に関しては、『カルメン』や『椿姫』や『フィガロの結婚』は、クラシックに属するのでオペラ、『ショウ・ボート』や『回転木馬』や『CATS』や『オペラ座の怪人』そして『ライオン・キング』などはポピュラー音楽を使っているので『ミュージカル』と単純に考えるだけで十分です。

まとめ

『オペラ』・『オペレッタ』・『ミュージカル』は、共に歌と音楽と演技と踊りが揃った総合舞台芸術です。そしてオペラ・オペレッタはクラシック音楽、ミュージカルはポピュラー音楽を使った音楽劇であると大きく分けて考えることができます。