『天気』『天候』『気候』『気象』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

空の状態を示す言葉には「天気」「天候」「気候」「気象」の4つの言葉があります。それぞれに細かなニュアンスの違いがありますが、感覚的にはわかっていても説明するのはしく、正しく用いることでより理解しやすい日本語になります。

『天気』

  • 意味:特定の場所や特定の時刻における、晴天や降雨など、地表に影響をもたらす大気の状態
  • 使い方:天気予報

「天気」は、晴れ・曇り・雨など大気の状態によって発生する状況を示した言葉です。気象庁が一般向けの気象情報に用いるものだけでも15種類存在します。温度や湿度、降水確率なども全てが対象になります。あらゆる要素をまとめた総合的な大気の状態と言ってもよいでしょう。

時間や場所をピンポイントで限定し、そこにいる人の視点で大気の状態を説明した言葉で、数キロ単位や一日単位で刻々と変化していきます。極端な例では、自分と隣にいる人との間にもごくわずかな天気の差は存在します。日常生活の中で具体的な行動を左右するものであり、人々の行動に最も関係するものであると言えます。

『天候』

  • 意味:「天気」と「気候」の中間的な概念とされ、数週間から数か月間の天気に比べて長い期間や、都道府県や地方など、広範囲での大気の状態の変化
  • 使い方:天候に恵まれる、天候不順

「天候」は連続した一定期間の大気の状態を指し、今日、晴天になっても雨天になっても変化するものではありません。しかし一定期間、晴天が続いたり雨天が続いたりすることで変化します。

温度に関しては、季節の変化で上下するもの(いわゆる平年の気温)は含まず、その季節の平年の気温に対してどの程度高かったか低かったかを表します。また、範囲についても天気よりも広く、天気のように数キロの違いで変わるものではありません。このことから、農林水産業など、天気の変化が関係する業界で使用されることが多い言葉です。

『気候』

  • 意味:ある地域を特徴付ける大気の状態のことで、天気や気温、風向や降水量などの傾向を表したもの
  • 使い方:気候変動

「気候」という言葉は、「気象」とよく似た意味ではありますが、毎日の気象データが蓄積されて得られた、数年から数十年単位(日本の気象庁では30年間、世界での異常気象の比較対象としては25年間)での傾向を示す言葉です。

「天気」や「天候」と違い、毎日のように変化するものではなく、「日本の夏は地域により35℃以上になる日が続く」という特定の国や地方の特徴のようなニュアンスになります。数十年よりも長いスパンで論じられることもあり、気候変動は数万年以上の期間における植生や生物相の変化を示します。一定の時期に限定されたものではないので異常気象とは呼びません。

『気象』

  • 意味:気温や気圧の変化などの大気の状態、大気の中で生じる現象全般のこと
  • 使い方:気象予報士

「気象」という言葉は、晴れや雨などの天気の変化を引き起こす要因となる、大気の状態の変化全般を指します。天候や気候のような時間の経過は関係なく、例えば、天気が変わるわけではない小さなつむじ風がどこかで発生しても、その場所の「気象」はその瞬間に変化します。

この言葉が大気の状態という意味で使われ始めたのは明治時代初期になってからで、それまでは人物の性格や気質を表すのに用いられてきました。科学的な要素を表すニュアンスがあり、生活を変化させるものではありません。大気の状態の変化が大きくなり、天気が変化して初めて、人々の生活に影響を与えます。大気の変化を最もダイレクトに表す言葉です。

まとめ

「天気」「天候」「気候」「気象」の意味や使い方の違いについて解説しました。

  • 「天気」…特定の場所や時刻に、地表に影響をもたらす大気の状態
  • 「天候」…天気と気候の中間的な概念で、天気よりも長い期間や広い範囲での、大気の状態の変化
  • 「気候」…ある地域を特徴付ける大気の状態、天気や気温などの傾向
  • 「気象」…気温や気圧の変化など、大気の中で生じる現象全般のこと

身近な言葉ですが、細かな意味の違いがあります。