人と話をしていると何か普通の言葉とは違うと感じるときがあります。そのときにその人の言葉は『方言』なのか『訛り』なのかという疑問を抱くこともあるものでしょう。この二つの言葉の違いを理解して使い分けられるようにすることが大切です。
『方言』
- 意味 :ある特定の地域でだけ発達した独特の言葉や発音などの言語体系。
- 使い方:あの地域の方言は標準語からかけはなれていて理解が難しい。
『方言』は「ある特定の地域でだけ発達した言語体系」です。国によって標準語が定められているときには、特に標準語以外で国内にある地域ごとの言語体系を指すことが多いでしょう。
関西弁、大阪弁、沖縄弁といったものはその典型的な例となります。その地域に住んでいる人たちによって育まれてきた独特の言語体系です。言葉遣いや語彙からその地域に独特のものがあることも珍しいことではありません。また、言葉としては同じであっても発音に違いがあって、違う地域で生まれ育っていると話が聞き取りづらいということもよくあります。
しかし、特定の地域という閉じた世界の中で見ると意思疎通がしやすい言語体系であり、その中では共通の理解をもってコミュニケーションを取ることができます。家庭ごとに生み出した言葉や個人で考えた言語体系ではなく、古くからその地域に根ざしているのが特徴です。
『訛り』
- 意味 :ある地域で発達した独特の発音。
- 使い方:彼の訛りは特徴的だから生まれがどこかがわかる。
『訛り』は「ある地域で発達してきたその地域で共有されている独特の発音様式」です。地域によって同じ言葉であっても発音が違うことがよくあります。
『方言』と異なるのは『方言』の言語体系のうちで言葉や語彙などの除いた「発音」の部分だけを取り出している点です。つまり、その地域にしかない言葉や語彙は『方言』ですが、それがどのように発音されていても『訛り』ではありません。
標準語で使われている言葉であって意味にも違いがないというものの中で、発音だけがその『方言』では異なるという場合が該当します。『方言』の一部という位置づけで考えると間違いがないでしょう。この場合にも地方に根ざしているものであって、そのコミュニティーの中では理解がしやすいというのが特徴です。
個人が考えて生み出した発音でもなければ、新しく流行するようになった発音でもなく、地域で古くから用いられてきた発音となっています。
『方言』と『訛り』の使い分け例
『方言』と『訛り』の使い分けをするには、話題にしているのが「言語体系」全体か「発音」かの区別ができれば難しくはないでしょう。
「あの地域の方言は理解できない」という場合には、あの地域で話されている独特の言語体系を理解できないという意味になります。言葉が明らかに普段から慣れ親しんでいる言語体系とは異なっていて意思疎通が難しいということもあるでしょう。しかし、発音が特徴的で必死に聞き取ろうとしてもなかなか正しく理解できないという場合もあります。
一方、「あの地域の訛りは理解できない」というときには、発音が問題になっていて理解ができないということを明確に表せるのです。「方言を使わないように努力しているけれど、訛りはつい口に出てしまう」という話をすることが多いのが『方言』をよく使っている地域の出身者でしょう。
その地域でしか使われていない言葉がわかっていて使わないように努力しているけれど、標準語と共通している言葉についてはつい地域独特の発音で話してしまうという意味になります。
まとめ
日本には多くの『方言』があり、それぞれの地域に根ざしている独特の言語体系の意味があります。『訛り』の場合にはその中でも発音だけを指していますが、『方言』の場合には言葉や語彙、文法などにも範囲が広がると覚えておきましょう。