『芳香剤』と『消臭剤』は家庭での臭い対策としてよく用いられますが、同じように使用されていながらも意味にも正しい使い方にも違いがあります。目的に応じて使い分けることが大切なので用法と共に理解しておきましょう。
『芳香剤』
- 意味:香り成分を発生させるもの
- 使い方:芳香剤を使用して部屋の臭いを紛らわす。
『芳香剤』は「良い香りのする成分を発生させるもの」というのが基本的な意味です。
人が良い香りと感じやすい芳香成分が含まれていて、それを徐々に放出させることによって部屋に良い香りを漂わせることができます。バラやジャスミンなどの花の香り、グレープフルーツやゆずなどの柑橘系の香りに加えて、森林や石鹸などのテーマに沿った香りのものがよく使用されているものです。
本来の使用目的は部屋の中に気分が良くなるような香りを充満させることになります。香りを放出させることによって、部屋の中にある臭いをかき消してしまうこともできるため、形式的には消臭の目的で利用することも可能です。それが消臭剤との混同を生んでしまうことになる原因と言えるでしょう。
しかし、必ず香りになる成分が含まれていて、それを超えるような臭いを消すことはできないのが特徴です。置いた場所からの距離が近いほど香りが強くなりやすいため、自室でデスクに座っていることが多いのならデスクの周り、リビングならテーブルの周辺といった場所を選んで設置するのが良いでしょう。
香りが強い場合には離して置いたり、薄手のビニール袋をかぶせて穴を開けたりすると強さが調節できます。芳香剤を置いた場所から遠くなれば香りがしないため、部屋によって違う香りにすることもできるでしょう。うまく置き場所や置き方、香りの種類を工夫することで、その部屋にいるときに快適な程度の香りが漂うようにするのが良い使い方です。
『消臭剤』
- 意味:臭い成分を取り除くもの
- 使い方:トイレに消臭剤を置いて不快な臭いをなくす。
『消臭剤』は「消臭成分が含まれていて臭いの原因になっている成分を取り除くもの」です。
芳香剤との違いは香り成分が含まれていないことであり、それ自体が香りを出すことはありません。含まれている消臭成分には色々なものがあり、その種類によって取り除ける臭い成分にも違いがあります。トイレで発生するアンモニア臭にはトイレ用のものを、衣類の臭いには衣類用のものを利用しなければ効果がしっかりと発揮されません。活性炭のように様々な種類の臭い成分を吸着させられるものもあり、多くの製品に配合されています。
使用する際には臭いの原因になっている部分の近くに置くことが重要です。臭い成分が空気中を漂って、消臭成分と接触することによって反応し、臭いが取り除かれることになります。そのため、できるだけ臭い成分が消臭成分と接触しやすいように近くに置くことが有効性を高めるのに欠かせません。スプレータイプのものであれば直接、臭いの原因になっている場所に吹きかけることが必要になるのが一般的です。
臭い成分が多い場合には100%取り除くことは難しい場合も多く、即効性には優れていませんが、ずっと置いておけば臭いが常に薄まって感じられないレベルにすることができるでしょう。芳香剤と違って別の香りをさせてしまうことはないのがメリットです。また、臭い成分を根本的に取り除けるため、臭い成分に有害性がある場合には健康にとっても良い効果が期待できるのが消臭剤の特徴と言えます。
まとめ
『芳香剤』も『消臭剤』も臭いへの対処に用いるものですが、香りを出すか、臭いを取り除くかという点で違いがあります。それによって置き場所もかえると効果が高まるため、言葉の使い方だけでなく使用方法についても区別して活用しましょう。