意外と知らない!『樽』と『桶』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

容器として様々な用途で用いられるのが『樽(たる)』と『桶(おけ)』です。どちらも木でできていることが多くて見た目では同じような印象を受けますが、明確な違いはあるのでしょうか。使い分けが正確にできるように違いを見てみましょう。

『樽』

  • 意味 :円筒形で典型的には木製の容器。一般的には蓋をして使用される。
  • 使い方:樽でウイスキーを貯蔵する。

『樽』は「蓋をして使用する主には木製の円筒形容器」です。その中でも側板には板目の板を用いて制作されたものを指します。

基本的な作りは『桶』と似ているたものの、側板に用いている板目の板は、水分の吸収率が低いことから水分を多く含むものの貯蔵に用いやすいのが特徴です。そのため、日本酒やウイスキー、醤油などの液体を保存するのに古くから用いられてきました。目的が貯蔵用になる影響を受けて、使用される際に蓋するのも特徴です。

ただし、液体のものを貯蔵するという目的が必須であるわけではありません。漬物を漬けるのにも用いられますが、これは水分が出てきた際にも内部にしっかりと保存することができるからでしょう。基本的には中に入れたものを長期的に保存する目的で用いられる木製の円筒形容器なのが基本ですが、例外もないわけではありません。漬物に用いられる容器は漬物『桶』と呼ばれることもあるからです。

『桶』

  • 意味 :円筒形で典型的には木製の容器。一般的には蓋をせずに使用される。
  • 使い方:桶で水を汲む。

『桶』は「蓋をせずに使用する主には木製の円筒形容器」です。その中でも側板には柾目(まさめ)の板を用いているものを指します。柾目板は水分を吸収しやすいのが特徴となっていて、液体や水分の多いものの長期的な保存には向きません

しかし、一時的に使用することはできるため、水を汲むのに用いたり、風呂を焚くのに使用したりします。特に液体をのものを使用する際には一時的にしか利用できないことから蓋をする必要がありません。結果として蓋をしないで使用するのが基本となっています。

製法は『樽』と同じになっていますが、もともとは木をくり抜いて作られていたという歴史もあり、ルーツの違いによって分類するという考え方もあるのが実情です。とはいえ、基本的には一時的な使用が目的となっていたり、使用時には蓋をしないのが通常だったりするのが共通しています。例外もありますが、およそ『樽』との区別ができる考え方でしょう。

『樽』と『桶』の使い分け例

『樽』と『桶』を正確に区別するのは意外に難しいものです。『樽の水を捨てる』というときには汲んでから長く容器の中に貯蔵しておいた水を捨てる場合が多くなります。それに対して『桶の水を捨てる』という場合には様々なケースが想定されるでしょう。一時的に水を汲んだものの、余ってしまって要らないから捨てるという可能性があります。

また、天水桶のように雨水を溜める目的で使用していて、中に雨水が溜まってしまったから捨てるということも考えられるのです。「樽に水を入れる」というときには、その水を保存しておいたり、その中に何かを入れて別のものを長時間かけて作ったりすることを連想させます。

一方、「桶に水を入れる」という場合は、すぐにその水を使用するという印象を持たせることになるのです。このように同じように水の出し入れをするだけでも、その目的の違いを意識させることができるのが『樽』と『桶』の違いになります。そもそも製品としてどちらの目的で作られたか、蓋付きのものかそうでないかによっても区別が可能です。

まとめ

『樽』も『桶』も日本では古くから用いられている木製の円筒形容器です。中身を長期保存する目的で蓋をして使うものが『樽』、一時的な使用や使用時に蓋をしないのが通常のものを『桶』と理解しておくと概ね区別ができるでしょう。