『可愛い』と『可愛らしい』という言葉。一見同じ意味の言葉に感じても、実は細かなニュアンスの違いがあるのです。そんなの知らなかったという方は、今回で『可愛い』、『可愛らしい』の意味の違いをマスターして、普段の生活の中で使い分けを実践してみましょう!
『可愛い』
- 意味:小さいもの、弱いものに心惹かれる気持ち、無邪気、子供っぽい、かわいそう、愛らしい
- 使い方:可愛い声、可愛い顔
『可愛い』は、容姿や外観など見たものそのままの姿が愛らしいときに使います。
主に主観的な感情を表現したいときに使用され、対象(人物や物など)は愛らしいものだと断定した言い方になります。また、自分よりも小さなものや、守ってあげたくなるようなか弱い相手に使われることも多く、『かわいそう』といった意味合いを込めて表現されることも多い言葉になります。
最近では若い女性がお年寄りや屈強な男性に対して使うことも多くなりましたが、本来の意味合い(辞書での使い方)ではそれは正確な使い方ではありません。
「あの少女は―顔をしている」、「あの子犬はー」、「あの家の子は小さくてー」、「ああ見えてもーところもある」、「ー孫が生まれた」・・など、見た目や自分が感じた感情を表現するときはこの言葉を使用します。また、最近では「見た目は気持ち悪いがー」などというように、気持ち悪いものに対しても使用されるほど使い方が多種多様になっている言葉でもあります。
『可愛らしい』
- 意味:子供っぽい、容姿の美しさで周りを魅了するさま、愛らしさが感じられるさま
- 使い方:可愛らしい雰囲気、可愛らしい性格
『可愛らしい』という言葉は、昔から「かわゆらしい」という発音で使われていた言葉で、意味も可愛いととても似ています。
しかし、可愛いよりもより客観的な表現であり、自分だけに当てはまる感情を表現するときには使用されません。可愛いが容姿や見た目を表す言葉であるならば、この言葉は対象の雰囲気や性格を表すときに使われる頻度が高いです。可愛いよりも曖昧でやんわりと愛らしさを表現する場合にも使われます。あるいは、見た目もすべて含めた対象の全体的な雰囲気を言い表す際にもよく使用されます。
「あの子の性格はー」、「あの絵はータッチで描かれている」、「ー人だ」、「あの家はこじんまりとしていてー」・・などといったように、雰囲気をやんわりと伝えるときに当てはまる言葉になります。これを、「あの子の性格は可愛い」と表現してしまうとどこか違和感を感じますよね。性格を表現するときも「可愛い」と一言で言えば問題ありませんが、きちんと文章で伝える際は「らしい」という表現を用いましょう。
『可愛い』と『可愛らしい』の使い分け例
『可愛い』、『可愛らしい』という言葉は非常に似ていて使い分けが難しい言葉だということがわかると思います。しかし、場面によっては使い分けをするとより自分の表現したいことが相手に伝わりやすくなるケースもあるので、いくつかその例を見ていきましょう。
『可愛い人』と『可愛らしい人』
可愛い人=見た目が愛らしい人(自分の主観)、可愛らしい人=性格や全体的な雰囲気が愛らしい人(周りから見てもそれが感じられるような)。
『可愛い人』は、自分の目から見たときに心惹かれるような見た目をしている人のことを指します。これは完全に主観的であり、人によって感じ方が異なります。『可愛らしい人』は、世間一般に愛らしいと受け取られるような見た目や性格の人のことを指します。可愛らしいという表現の際にも、人と受け取られ方が異なる場合はありますが、「らしい」という言葉を用いてより多くの人に当てはまるような客観性と曖昧さを表現しています。
『可愛い息子』と『可愛らしい息子』
可愛い息子=自分自身の息子が愛おしい様子を表す、可愛らしい息子=第三者の家の息子が愛らしく見える様子を表す。
『可愛い息子』は、自分の息子が可愛いということを伝える際に使用します。反対に、「わたしの息子は可愛らしい」というような表現は使いません。『可愛らしい息子』とは、客観的に第三者から見た様子を表しています。
まとめ
以上が、『可愛い』と『可愛らしい』の使い方の違いです。
- 『可愛い』・・見たままの姿を主観的に表現する言葉
- 『可愛らしい』・・広く一般に受け入れられるような愛らしさを表現する際の言葉。性格や雰囲気を表す言葉。
なかなか違いが分かりにくい言葉ですが、可愛いは主観的、可愛らしいは客観的と覚えておくと使い分けがしやすいかもしれませんね。