はなやかな人、はなのような人、はなを添える…あなたなら、「はな」の部分にどんな漢字を入れますか?「花」でしょうか。それとも、「華」なのでしょうか?
今回は、分かるようでいて曖昧な「花」と「華」というふたつの言葉の意味と、その違いについて解説していきます。
このページの目次
『花』
- 意味:種子植物が成長した時につけるもの(はな)のこと・桜のこと・種子植物そのものの代名詞・華道のこと・はなやかである、さかんであるといった見かけや特徴を植物の「はな」に例えていうことなど
- 使い方:花が咲くなど
「花」という言葉にはとても多くの意味がありますが、そのほとんどが植物の持ついち器官である「はな」を指すもの、もしくはそれに関連したものです。
「はな」をつける植物そのものの代名詞として使われることもあるほか、更にそれらの代表として桜のことを指す場合もあります。
また、見た目を植物の「はな」に例える時や、美しいもの、代表的なもの、その人やものの最も良い時期などを植物の「はな」になぞらえて表現する時に使われることもあります。
つまり「花」=「植物の咲かせる『はな』のこと」です。
「雪の花」「月に叢雲、花に風」などというように使われます。
『華』
- 意味:丸まった形の花または花びらが美しく咲き乱れている様子、転じて種子植物が成長したときにつける「はな」のこと(=「花」と同じ)・はなやかであること、あでやかなこと、きらびやかであること、すぐれていることなどの比喩
- 使い方:絢爛豪華など
「華」という言葉にはもともと、「丸まった形の花」や「花びらが美しく咲き乱れる様子」という意味がありましたが、やがて「花」と同じく、植物のつける「はな」という意味になりました。
また、はなやかなこと、あでやかなこと、きらびやかなこと、すぐれていることといった意味を含んでおり、それらの抽象的な様子を表現する時に使われることが多くあります。
つまり、「華」=「まるで植物の咲かせる花のように、はなやかで盛んである様子」です。
「華やか」「華々しい」などというように使われます。
『花』と『華』の使い分けの例
それでは、「花」と「華」の具体的な使い分けについて確認していきましょう。
- 花がある・・・そこに、花を咲かせた植物が存在する。
- 華がある・・・はなやかさを持っている。
「花がある」は単に植物がそこに存在するという事実を表します。一方「華がある」は、はなやかであるさま、あでやかであるさまを表しており、そこに植物の花があるかどうかは無関係です。
- 火事と喧嘩は江戸の花・・・火事と喧嘩は、江戸を代表するものである。
- 火事と喧嘩は江戸の華・・・火事と喧嘩は、江戸の中でも特に目立ち、盛んで代表的なものである。
どちらも同じく「火事と喧嘩」を植物の「はな」に例え、「火事と喧嘩は江戸を代表するものである」ということを表しています。
ただし、「華」を使った場合「盛んである、派手である」というニュアンスがより強くなります。
まとめ
- 「花」・・・植物のつける「はな」という器官
- 「華」・・・花のように、はなやかで盛んであること
どちらも植物の花を指す言葉ですが、「花」はあくまでも植物のいち器官である花を表しているのに対して、「華」はより比喩的なニュアンスを強く含むことが多い点がポイントです。
例えば「はなやか」という言葉に「花やか」という字を当てるのも決して間違いではありませんが、一般的には「華やか」の方がよく使われています。
「はなを添える」などどちらの字を使っても間違いではない場合、「華」を使うとはなやかな雰囲気を強調することができます。
以上が、「花」と「華」という言葉の意味と使い方についての解説です。
似た意味を持つ言葉のなかでもことさらに紛らわしい「花」と「華」ですが、上手に使い分けることで文章をより豊かなものにできるのではないでしょうか。