時を表す表現にはたくさんありますが、違いを理解しておきたいのが『時刻』と『時間』です。概念としての違いがあるため、具体例を通して学ぶとイメージしやすくなります。子供にも教えられるように理解しておきましょう。
『時刻』
- 意味:時の流れの中のある一点
- 使い方:セレモニーが開催される時刻は2時30分になっています。
『時刻』は「時が流れていく中でのある一点」を指す言葉です。
最も端的に言えば1時10分といった形で、今は何時何分かを示すのが基本です。話の流れによっては秒単位で考えなければならないこともあるでしょう。「今は何時ですか」という質問の回答に相当するものと理解して使用するのも簡単な考え方です。
時の流れの中で幅がない一点を示すのが特徴ですが、しばしば『時間』という言葉で置き換えられて使用される場合もあるので注意が必要です。使い方に示した例でも、「セレモニーが開催される時間は2時30分になっています」と伝えても意味が通じます。これは『時間』が時の流れのある一点を示す表現として使用することが慣用的に認められているからです。
しかし、うっかり誤解を生んで島わないようにするためには厳密に使い分けるに越したことはありません。ある一点だけを指すときには『時刻』を使用する習慣を作るのが賢明です。
『時間』
- 意味:時の流れの中のある一点から別の一点までの長さ
- 使い方:セレモニーが開催される時間は30分と予定されている。
『時間』は「時のある一点から別の一点までの間」を示す表現になり、長さあるいは幅があるのが特徴です。
「時」と「間」で構成されている熟語であることから、二点の「間」を示すという理解をしておくとわかりやすいでしょう。時刻をもとにして計算することができるのも特徴になります。
例に示した使い方での30分は、セレモニーの開始時刻と終了時刻の引き算によって計算できるでしょう。セレモニーが2時30分に始まり、3時に終わる予定になっているから、セレモニーが開催されるの30分間になるのです。また、終了時刻が3時という情報が与えられていなくても他の情報が揃っていれば終了時刻を算出することができます。二点間の長さを表していることから、加減算に活用できるのが特徴と言えるでしょう。また、漠然とした幅を持った時を示す表現としても使用できるため、例文ではセレモニーが行われている間を示すのにセレモニーの時間という表現をすることができます。
『時刻』と『時間』の使い分け例
二つの違いを理解するための表現として次の例文を見ておくと使い分けがしやすくなります。
「授業の開始時刻に間に合うように、登校にかかる時間を考えて家を出る時刻を考える」というものです。授業の開始は時の流れの中の何時何分という一点になり、家を出る時刻もまた一点に定まります。それに対して登校は家を出る瞬間から学校に着く瞬間までの幅のあるものですので、時間に相当することになるのです。
別の例として、ある練習をするというときに「練習を始める時刻」というと練習を何時から行うかを示しますが、「練習をする時間」というとどれだけの長さだけ練習をするかを表すことになります。このように一点を示すか、幅があるかで違いが生じるのです。
一方、幅があるかどうかという見方をすると「正午」や「深夜」は12時、0時を示す時刻に該当し、「昼間」や「夜間」は明るい間や暗い間を表す時間の表現になるという区別もできるでしょう。このようにただ『時刻』と『時間』という言葉そのものを使い分けるだけでなく、関連表現も区別できるようになると良いでしょう。
まとめ
時を示す表現として『時刻』と『時間』は一点を示すか、二点間を示すかが大きな違いです。ある一点を指すときには『時刻』を使い、ある一点と別の一点の間を表すときには『時間』を使いましょう。ただし、『時間』は『時刻』の意味でも使える場合があるので注意が必要です。