説明できる?『重体』『重傷』『重症』の違いと使い分け例

意味の違い

怪我や病気などの状態がひどくて悲惨な状況になってしまっているときに『重体』『重傷』『重症』の三つの表現が使い分けられます。何が原因になっているかと程度によって使い方に違いがあることを覚えておきましょう。

『重体』

  • 意味:命にかかわるほど病気や症状、怪我や傷などの状態が重いこと。
  • 使い方:彼は意識不明の重体で緊急入院になった。

『重体』は「命にかかわるほどに状態が悪いこと」を示す言葉です。

状態が悪くなっている原因としては病気やその症状、あるいは怪我や傷などを広く用いることができます。脳梗塞や心筋梗塞などで突然倒れてしまったようなときや、交通事故で全身に大きな怪我をしてしまったときに用いることが多いものです。

特徴となるのが症状や怪我などの程度が大きくて命にかかわる状況になっていて、このままでは亡くなってしまうリスクが高い状況を示しています。一刻も早く適切な処置を行うことが求められている状況になったという意味を含んでいますが、既に応急処置などが行われた後であっても、まだ命の危険がある場合にはこの表現が用いられるのが一般的です。

ただし、どの程度から『重体』とするかについては明確な定義がありません。状況から考えて命にかかわるほど危険な状態になっているかどうかが根拠となって用いられます。

『重傷』

  • 意味:深い傷を負っていて状況が悪いこと。
  • 使い方:背後から拳銃で撃たれて重症を負った。

『重傷』は「傷や怪我の程度が重いこと」を示します。

状態が悪くなってしまっている原因が物理的な傷に限られるのが特徴です。『重体』のように命にかかわるほど深い傷でなくとも用いることができますが、程度が重くて治癒するまでに時間がかかるものでなければなりません。

傷によって出血があり、命の危険を伴うという状況下では『重体』が用いられます。その状態から治療を行って状況が良くなり、命にかかわることはないということになってから『重傷』という表現に切り替えられる場合もあるでしょう。傷の程度についての定義は警察では厳密に定められていて、全治30日以上とされ、30日未満の場合には軽傷とされています。

しかし、日常的に用いられているときには1週間で治るものであっても用いられる場合があることには留意しましょう。警察からの発表を受けて報道されている場合には全治何日かが判断基準となっているという程度です。

『重症』

  • 意味:病気や症状が重くて状況が悪いこと。
  • 使い方:インフルエンザを治療せずに放置したら重症になった。

『重症』は「病気や症状が重いこと」を示す言葉です。症状には広い意味では傷も含まれることから、状態が悪い原因として病気も怪我も含むという考え方が厳密には正しいとされています。

しかし、現実的には『重傷』との使い分けに焦点が置かれると、病気によって状態が悪くなっているときに用いられることが多いのが事実です。また、病気によって生じている傷によって状態が悪いというときに『重傷』が用いられる場合もあります。主には原因が病気になっていると理解しておくのが賢明です。

判断基準には『重傷』と同様に一般には明確な定義はありませんが、消防庁による定義は存在しています。消防庁によると病気や症状の治療のために三週間以上の入院が必要となるときが『重症』です。入院が必要であって期間は三週間よりも短い場合には「中等症」、入院による治療を必要としない程度の傷病の場合には「軽症」を用いるとされています。

まとめ

病気や怪我の状態の程度や種類によって表現が違うことがわかったでしょうか。命にかかわる状況が『重体』です。『重傷』は傷や怪我、『重症』は病気や症状が原因になって治癒や治療に時間を要する状態を示しています。