あまり目立たない場所にあるものを話題にするときによく耳にするのが『路地裏』と『裏路地』です。”裏”と”路地”をただ入れ替えただけの言葉ですが、指し示しているものに違いがあることを把握して使い分けましょう。
『路地裏(ろじうら)』
- 意味 :表通りから小道に入り込んだ場所。
- 使い方:路地裏に構えている隠れ家的なお店を選ぶ。
『路地裏』は「大通りに面していない小道にある場所」を示す言葉です。「路地」の「裏」にあるというのがもともとの意味となっていて、大きな道からは隠れている場所を表しています。
路地はもともと建物と建物の間にある小道のことを指しますが、小道としてどの程度までを許容するかに厳密な決まりはありません。ただし、表通りに面していないため、あまり目立たない場所であるという意味を含んでいるのが特徴です。たとえ奥まった場所にあったとしても表通りからよく見えるという場合にはあまり用いません。
この言葉が『裏路地』と異なるのは路地ではなく場所を表している点にあるため、空間的な広がりがあります。場所という概念は路地を含むことから、意味の上で違いがあまり生じずに『裏路地』を適切に置き換えられることがあることは留意しておきましょう。『路地裏』は路地だけでなく、路地につながっている場所全体を示すことができるのです。
『裏路地(うらろじ)』
- 意味 :表通りから入り込んだ場所にある裏手の小道。
- 使い方:街道を避けて裏路地を通って行く。
『裏路地』は「大通りの裏手にある小道」です。路地とはもともとは「露地」に語源があるため、屋根がない場所を示していました。そこから派生して屋根と屋根の間にある小道という意味が生じ、家が立ち並んでいるところにある細い道のことを示すようになっています。
その中でも表通りから離れているというのが「裏」の意味するところになるため、目立たないほどに細い道を表すこともよくあります。これが『路地裏』と違うのは「路地」そのものを指していることですので、奥まった場所にあって表通りからは目立たない場所にある道を指します。その周辺にある空間を指し示すものではないという認識が大切です。
小道そのものを指す言葉となっているため、『路地裏』に置き換えてしまうと意味が通じなくなってしまいます。『路地裏』にある路地の部分が『裏路地』という理解をしておくと互いの関係がよくわかって使い分けができるようになるでしょう。
『路地裏』と『裏路地』の使い分け例
『路地裏』と『裏路地』の違いになっているのは示している部分が場所か道かです。奥まった場所にある店について話をするときには「裏路地に面している店」という表現をするか、「路地裏にある店」と紹介するかが正しい方法になります。
一方、「路地裏に車を停める」というと、大通りから路地に入っていってその路地に車を停める場合もあれば、奥に入っていったところにある少し広がったスペースに駐車する場合もある表現です。これに対して、「裏路地に車を停める」となると、裏通りに入った後でその路地に直接車を停めることを意味します。
「飲みつぶれて路地裏で寝てしまった」「飲みつぶれて裏路地で寝てしまった」というときにも、前者であれば道の上で寝てしまっているとは限りません。路地に面している空間全体を指すため、大通りから離れた場所に空き地があって、そこで寝てしまっている可能性もあるのです。このように、『裏路地』を使うと場所が道に限定されますが、『路地裏』にするとそこから空間的な広がりが生まれます。
まとめ
『路地裏』も『裏路地』も表通りから離れている場所を示しています。違いとなっているのは『路地裏』はその場所全体を表現しているのに対して、『裏路地』は道の部分だけを表すことです。この違いを理解すれば正しく使い分けができるでしょう。