『信用』と『信頼』、どちらも相手を信じるという意味で使われますが、実は違いがあることをご存知でしょうか。
この二つの言葉の意味をそれぞれ知っておくと、いざというときに言葉を使い間違える心配もなくなります。
『信用(しんよう)』
- 意味:これまでの実績や成果などをみて、その仕上がりが満足度の高いものであると評価すること
- 使い方:信用を得る、信用を失う、信用取引
『信用』は、過去の状況を見たうえで、信じられるかどうかを判断するときに使われます。そのため、まずそれなりの実績等を積み重ねなければならず、すぐに手に入るものではないことがわかります。
例えば、初めてであった人はあまり『信用』できないと考える人がほとんどですが、その人と付き合っていくうち、人間性やものの考え方などに共感し、信じていくようになります。
何らかの事情で担保が不足した状況で取引をしなければならないとき、それまでに誠実な付き合いをしていれば、十分な担保がなくても条件の良い取引ができるようになります。仕事を初めて任されるとき、起業したばかりの時などの、一つの目標と考えてよいでしょう。
『信頼(しんらい)』
- 意味:相手を信用し、頼りにすること
- 使い方:信頼できる人、彼の信頼に応える
『信頼』は相手に対して、この人ならば大丈夫だろうと期待する気持ちを指しています。極端に言えば、必ずしも過去の実績が必要というわけではなく、直感で相手を『信頼』するというケースもないわけではありません。
とはいえ、通常は過去の実績を見たうえで未来の行動を期待するというケースがほとんどですので、まずは相手から『信用』されるようになり、そののちに『信頼』してすべてを任せてもらうという流れが一般的です。
また、『信用』という言葉は、一方が相手の過去の実績を評価するという一方向的なものの考え方であるのに対し、こちらは相手からの期待に応えるべく、自分自身も努力するというお互いへの気持ちの歩み寄りがあるというところも区別するためのポイントです。
『信用』と『信頼』の使い分けの例
- この人は信用できる・・・この人は、過去に十分な実績を残しているので、高い評価をすることができる
- この人は信頼できる・・・この人は、きっとこちらの希望を叶えてくれるだけの能力を持っていると信じることができる
このように、一言でもかなり意味合いの異なる内容になっています。過去の実績や成果が『信用』できるものであるか、その人物自体が信じることができるかという違いがありますので、使い分けるときには注意が必要です。
- 信用できる人・・・今までの状況から信じてもよい人
- 信頼できる人・・・信じて、頼ることができると思える人
微妙なニュアンスですが、『信頼』の方が相手を特に頼みに思っていることがわかります。消極的なデータによる判断が『信用』であるとすれば、『信頼』はその人を気に入っている、あとを任せたいという積極的な思いも感じられます。
まとめ
いかがでしょうか。似たような意味合いで使いがちな『信用』と『信頼』ですが、比較してみると、信じている人の側にどれだけ強い思いがあるかという点で、意味合いに違いがあることがわかります。
- 信用・・・過去に対し、実績や成果を評価すること
- 信頼・・・未来の行動や感情について、期待をすること
このように意味の違いを理解しておくと、いざというときにも正しい言葉を使うことができるでしょう。
どちらも相手を信じるという内容は共通していますが、『信用』というときにはデータをもとにしていること、消極的な信じ方ということなどから、ビジネスライクな使い方をされることが多いです。
一方で、『信頼』という言葉を使うのは、積極的な信じ方、双方の気持ちなどからその人物自体を気に入ってるときが多いため、特に親しい人に使われることが多いです。