“じゅうぶん” という漢字には『十分』と『充分』がありますが、両者に意味の違いはあるのでしょうか?
また、これらはどう使い分けると良いのでしょうか?今回はそのあたりのことについて調べてみました。『十分』と『充分』を使い分ける時の参考にどうぞ。
『十分』
- 意味 :数量的に満たされていること
- 使い方:十分な量のガソリン、十分な食料
『十分』と『充分』は実はその意味に違いはなく、どちらも同じ意味で使用されます。(辞書で調べてみると、『十分』と『充分』はひとくくりにされています)ですので、どちらを使用しても特に問題はありません。
では「全く違いはないのか?」というとそういう訳でもなく、公的文書では『十分』が使われますが、日本国憲法では『充分』が使用されています。
また、両者は漢字がもつ意味によって使い分けることがあります。『十分』は「十」という数字が含まれているように、1・2・3…10 と数量が満たされている場合に使われます。
車のガソリンが満タンであるのは、”タンクにガソリンが十分に満たされている状態” であり、英語で言う “Full” に近いイメージです。
ただ、数量的に満たされている状態を全て『十分』で表記してしまうと、「人数が十分に集まった」「十分煮込む」「時間は十分ある」などのように、「時間の10分」と混乱することもあるため注意が必要です。
『充分』
- 意味 :精神的に満たされていること
- 使い方:充分満足できた、その気持ちだけで充分
『充分』は「充足感」「充実感」などという言葉にもあるように、精神的に満たされていることに対し好んで使用されます。
例えば、もうこれ以上食べきれないほどお腹いっぱいのご飯を食べた時は『十分』を使いますが、腹八分目でも『充分』に満足感を感じることができます。
また、コップに水が満杯の時は『十分』を使いますが、それ以上コップに水を入れなくても良いことを伝えたい時には『充分』が使用されます。
『十分』が英語で “Full” であったのに対し、『充分』は “Enough” に近いイメージです。
ただ、最初に説明した通り両者は同じ意味であるため、コップの水が満杯の時に『充分』を使用しても何の問題もありません。公的文書では『充分』が使えないことを考えると、迷った時には『十分』を使用すると良いでしょう。
『まとめ』
以上今回は、『十分』と『充分』の意味の違いと使い分けについて解説しました。
- 『十分』・・・数量的に満たされていること、公的文書で使われる
- 『充分』・・・精神的に満たされていること、日本国憲法で使われている
これを機会に、両者の違いを理解し正しい日本語を使っていきましょう。