知ってる?『大学』と『大学校』の意味の違いと使い分け例

意味の違い

ある程度の教育課程を経てきた人が通う教育施設として『大学』の他にも『大学校』があります。どちらも”だいがく”の名前を冠していますが、日本の教育システムの上では全く異なるものです。区別するために違いを確認してみましょう。

『大学』

  • 意味:学校教育法で定められた教育や学術研究を行う高等教育機関。
  • 使い方:高校を卒業したら大学に通う人が大半を占めています。

『大学』は「学校教育法で定めれている高等教育機関で、教育や学術研究を目的とするもの」です。

小学校から中学校の義務教育を行い、高校へと進学していくという基本的な教育システムは学校教育法によって定められています。この教育システムの中で高校の次に相当する高等教育機関として位置づけられているものを指し、文部科学省の管轄下で運営が行われているのが特徴です。

原則として四年制での教育及び研究活動が行われ、必要な教育課程を修了することで学士の学位が与えられます。教育家庭の違いによって6年間の教育を必要とする医学や薬学などもあります。一方、2年間から3年間という短期間で卒業することができるものもあり、その場合に与えられるのは短期大学士の学位です。このように国による管理下で高校卒業以上の能力を持った人に対して行われている高等教育を担う機関を指し示しています。

『大学校』

  • 意味:主に大学と類似した教育過程を持っていて文部科学省の管轄下にない教育訓練施設。
  • 使い方:大学を卒業してから大学校に通って能力を磨くことにした。

『大学校』は「学校教育法により定められていないが、主に高等教育を担う教育訓練施設」です。

主に大学や大学院に相当する教育を行っていますが、専門学校に相当する内容の教育や生涯学習を目的とした活動の場の提供などの様々な目的で設置されています。高等教育課程を実施している場合には実質的には『大学』と大差はないと考えられますが、文部科学省の管轄下にない場合には『大学』の名称を使用できません。

管轄下に入らないことによって学校教育法による束縛を受けないことから、自由な運営が行われています。一般的には卒業しても学位を取得することはできません。しかし、適切な教育課程を実施している場合には学士や修士、博士の学位を取得することができます。就業年数は2年から6年程度になっていますが、短期大学に相当する短期大学校もあって半年から2年程度の教育課程で実施されている場合もあるのが特徴です。

『大学』と『大学校』の使い分け例

『大学』と『大学校』を区別するには次の例文を見ておくと良いでしょう。

「私は大学を卒業した」というときには、その専門分野での学位を取得しています。一般的には4年間の修学を高校卒業後に行ったと言えるでしょう。一方、「私は大学校を卒業した」という場合は必ずしも学位を取得しているとは限りません

『大学校』では教育課程の違いによって学位が授与されるかどうかに違いがあるからです。また、『大学』を卒業してから『大学校』に入学することもできます。その場合には『大学』で既に学位を取得しているでしょう。

このような兼ね合いを考えると次のような表現もできます。

「大学を卒業して別の大学に入学した」という場合には学位を持っていて、さらに別の学位を取るために『大学』に通ったという意味です。しかし、「大学を卒業して別の大学校に入学した」となると学位を持っている点では同じですが、次の教育では学位の取得の有無は気にかけていません。修学期間や教育内容についても違いがありますが、学位に注目してみるとこのように使い分けができます。

まとめ

高等教育を担う『大学』と『大学校』の大きな違いは学校教育法に基いて文部科学省の管轄下にあるかどうかにあります。管轄下にあって教育課程を終了すれば学位を取得できるのが『大学』、管轄下にはなくて自由な形で教育が行われているのが『大学校』です。