「関わる」と「係わる」、どうやって使い分けるかふとした時に考えてしまう事はありませんか?
漢字を合わせると「関係」なので、どちらでもいいような気もしますが、仕事上でもよく使う言葉ですから、違いを知っておくことに越したことはありません。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
『関わる』
- 意味:1・かかわる。かける。あずかる。2・大事な場所。しかけ。時機。3・閉ざす。閉じる。閉める。塞ぐ。4・かんぬき(門を閉ざす横木)。5・入り口。国境などに設けてある通行人を調べる所。せき。
- 使い方:研究に関わる、人々に関わる
「関」の漢字の成り立ちですが、門構えが左右両開きになる戸を表し、その中の象形が会うと同じ意味を持つようになり、門を合わせ閉じる、という意味になります。
この漢字一字だけでも、幅広い意味を持っているのがわかりますが、重要なのは、かかわる、あずかる(関係する)という部分です。
文章の中で使用する場合は、物と物、人と人など、二つの間柄と関係を持つ場合に使われ、仕事上や実務的のなことを行う上で多く使われます。
行政など公的な文書や学術的な論文などを書く場合は、こちらの「関わる」を使用します。
「関」を使った漢字・熟語には、「関所」、「関数」、「機関」、「関数」、「関心」、「関与」、「~に関して」などがあります。
『係わる』
- 意味:①かかわる。つながる。関係がある。②かける。つなぐ。くくる。つらねる。つづける。③かかわり。④かかり。受け持ち。担当の人。かかりことば(文の成立を助ける働きの助詞として)
- 使い方:命に係わる、沽券に係わる
「係」の漢字の成り立ちは、「人」と「系」を合わせた文字で、これは横から見た人の象形と、つながる糸を手でかける象形を合わせたものになります。主な意味は、人と人をつなぐ、ということになります。「関」とも似ていますが、意味の幅は狭まっています。
実は、「係わる」の表記は常用漢字表外音訓になります。簡単に言うと、学校の教科書には載っていない読み方で、「かかわる」という読み方としては、一般的ではないのです。通常、読みとしては「かかる」と読まれるので、こちらの方がなじみがあるのではないでしょうか。
「係」を使った漢字や熟語には、「係数」、「係争」、「係留」、「係船」、「係属」、「係結び」、「係助詞」などがあります。
『関わる』と『係わる』の使い分けの例
「関わる」と「係わる」の意味を知ったところで、使い分けを見ていきましょう。
- 事件に関わる
- 事件に係わる
実は、どちらの漢字にも明確な意味の違いはありませんので、どちらも事件に関係するという意味で通用します。ですが、「係わる」は、常用漢字表外の読み方をするので、使う時は、「関わる」を使用した方が一般的に通じるでしょう。
ちなみに、特に「係わる」が使われる言葉があります。
- 沽券に係わる・・・プライドが傷つく、面目に差し障りがある
- 命に係わる・・・生命の存続が危ぶまれること
沽券とは、人の値打ち、品位などの意味で使われる言葉です。
「命に係わる」について、これは漢字の意味を通してのニュアンスになりますが、「係」の方が人へ働きかける意味合いが強いため、相手が近しい人である場合やコミュニケーションについての文章の場合は、「係わる」で表現した方が伝わりやすいと言えます。
まとめ
「関わる」と「係わる」の使い分けについて考えてきましたが、結果としては、ほとんど一緒の意味なのでどちらを使用してもよい、ということになります。
ですが、公に出回る文書で使う場合や、契約書などの重要な文書の場合は、「関わる」の方が一般的と言えます。漢字の意味をが分かっているなら、かんぬき(棒)なのか糸なのか、ということで、物や人同士のつながりの強さを表してみてもいいかもしれません。
また、あえて「かかわる」と、ひらがなで表記してしまうという手もあります。ビジネスで使用するのか、プライベートで使用するのか、で使い分けてもいいかもしれませんね。
最後に、どちらを使用しても間違いではないのですが、同じ文書内で「関わる」と「係わる」が混同して使われていては、体裁が良くありません。チェックは怠らないようにしましょう。