道端に生えている草を見て、これは『雑草』か『野草』かと言われて区別することができるでしょうか。どちらも草を指すものであるのは確かですが、全く同じというわけではありません。違いを区別して使い分けられるようにしましょう。
『雑草』
- 意味:ある区画に目的を持って植えられた植物以外に自然に生えてきた草
- 使い方:ニンジン畑に生えた雑草を抜く。
『雑草』は「野菜などの栽培をする目的で利用されている区画に生えてきてしまった、目的の植物以外の草」を指します。
野菜や花などを栽培していて、他の種類の草の種が飛んできて生えてきてしまうことは珍しいことではありません。その草に土の養分を取られてしまったり、草が育って陰を作ったりしてしまうと、栽培している野菜や花の生育が悪くなる可能性が生じてしまいます。
目的にそぐわない草が生えてきたら、それは雑多なものだと考えて抜いてしまうのが基本です。栽培をしている人が管理をする上で邪魔になる草が該当すると言えるでしょう。
たとえタンポポの綺麗な花が咲いていたとしても、それがキャベツ畑の中であればキャベツを育てる上では邪魔になってしまうのでタンポポは雑草になります。しかし、タンポポがハイキング道の一角に咲いていたのなら、それは栽培のために使用している区画ではないので野草と考えることができるでしょう。
ただし、そのハイキング道もしっかりと管理されていて、草が生い茂ってしまわないように手が入れられていたり、景観を良くするために別の植物を植えていたりする場合には目的外のものになるので野草とは考えられなくなってしまいます。
いらないから抜いてしまおうという発想に至らなければ野草になるという考え方を持っておくのも良いでしょう。草が生えている区画を人が利用していることによって大きな影響を受けるのがこの二つの区別なのです。
『野草』
- 意味:人が植物の栽培目的で使用していない区画に自然に生えて育っている草。
- 使い方:登山に行って野草を観察する。
『野草』は「自然生えて育っている草」の中で「野菜などの生産を行う目的で利用されている区画以外に生えているもの」を指すのが一般的です。
山に登ったり、高原を散歩したりすると道端に多くの草を見つけることができますが、これらは全て自然に生えて育っている草でしょう。人が手を入れているものではなく、その区画は何かの目的で植物の栽培が行なわれているわけではありません。
そのため、そのような草は雑草にされることはなく、自然のままに育つことになります。ただし、気をつけておきたいのは人の主観の影響も受けることです。両者の区別が明確に定義されているわけではないため、もし登山をしていて見かけた草が道を歩くのに邪魔に感じられると雑草として扱われることになるでしょう。
人の都合が両者の区別に効いてくることは理解しておかないと使い分けで間違えることになりがちです。極端な例として、家庭菜園をしていて野菜を育てていたところにヒマワリが生えてきたら雑草ですが、そのヒマワリがきれいだと感じて育ててしまえば野草になります。
あるいはそのヒマワリを摘んで植木鉢やプランターに植えて育てた場合ももはや雑草ではなくなるのです。愛でる気持ちがあるかどうかを判断基準として持っておくと良いでしょう。しかし、家庭菜園で自分で植えた草に関してはどちらにも分類されません。あくまで自然に生えて育っている草でなければどちらにも該当しないからです。
まとめ
自然に生えて育っている草は世の中にはたくさんあります。それらを区別するときに大切なのが人の主観であり、いらないものなら『雑草』、愛でるものなら『野草』になるのです。草の生えている区画で目的を持った植物の栽培が行われていると必然的に『雑草』になり、そうでない場合には大抵は『野草』になります。