男の子でも女の子でも、子供の名前として人気のある「りん」という漢字ですが「凛」と「凜」があるのはご存じでしたか?
見た目は似ている印象もある漢字ですが、違いもあるのでその違いをご説明します。
子供にとって名前は一生モノです。親からの最初のプレゼントにもなりますので、漢字の持つ意味や歴史等を知り参考にされてください。
『凛』
- 意味:寒い、厳しい、激しい、心が引き締まる様子
- 使い方:凛とした、凛々しい
凛という漢字には、「物理的に寒い様子を表す」意味と「精神的に心を引き締める様子を表す」意味があります。漢字の成り立ちもヘンに当たる冫「にすい」が氷を表し、禀部分では蔵の中の穀物を表現しています。
つまり、穀物を納めている蔵の近くに氷があり寒々しい様子から、体が縮こまる意味や、それが転じて心が引き締まる意味になったのです。
「凛とした」等と使われるのも、この意味から派生して「きりっと引き締まって威厳のある様子」を表す言葉として出来た物です。
実はこの漢字は2004年以降、名前で使えるようになった物です。毎年発表される名前のランキングでは、2004年以降2006年以外では毎年ベスト100位に入り、2004年には1位になるなど人気のある名前です。
名前に使うことで、「凛とした人になってほしい」「芯の強さを持つ知性のある人になってほしい」等の願いを込めることが出来ます。
『凜』
- 意味:意味:寒い、厳しい、激しい、心が引き締まる様子
- 使い方:凜とした、凜々しい
実は、意味や使い方は凛と同じなのです。何が違うのかというと、「凜」は正字、「凛」は俗字という違いです。
つまり、同じ字なので意味や使い方に違いはありません。凛の項でもお伝えしましたが、漢字の成り立ちは穀物を納めている蔵を表しているものから変化して行ったので、穀物を表す「禾」が正しいのです。
しかし凜の方が正字なのですが、パソコンの文字の規格であるJIS漢字コードでは俗字の凛が先に登録されてしまい、正字は1990年代に凜が人名用漢字として追加された時に後から登録されたという歴史あり、「りりしい」「りんとした」を変換する際に俗字が先に出てくるのです。
しかし、意味は同じですが作りの部分の「稟」は稟議書等の言葉にも使われる物で、「天から授かる」「上からの命令を受ける」等の意味があります。「禀」の字にはその意味はありません。
子供の名前は『凛』と『凜』どっちにすればいい?
「凛」と「凜」の漢字は、持つ意味も使われ方、画数も一緒です。つまり子供の名前に使用する場合には、どちらが良い等の優劣はありませんので、字形の見た目の好みで選ばれても問題はありません。
将来、子供が成長し実印を作る時の印鑑などの書体等ではどのようになるかも考えて決めても構わないでしょう。
「凛」を使用する場合、子供の名前が変換の際にすぐに表示される、凜と比較すると世の中に浸透している為書き間違えられにくい等のメリットがあります。
「凜」を使用する場合、変換の際にすぐには表示されないが正字である、「稟」の部分に「天から授かる」の意味があるため名前に「上昇していく」「親にとって天から授かった宝物である」等の意味や願いを込めることが出来るというメリットがあります。
子供が成長した時に、その漢字に決めた意味まで伝えられる様によく考えて決めてみて下さい。
まとめ
以上、「凛」と「凜」の違いをご説明しました。
- 「凛」・・・俗字、2004年に名前に使えるように登録された漢字、パソコンでの変換の際に先に表示される
- 「凜」・・・正字、1990年に名前に使えるように登録された漢字、「稟」の部分に「天から授かる」の意味がある
「凜とした」「凛々しい」等の漢字の持つ意味や使い方に違いはありませんが、その漢字の持つ歴史には大きな違いがあります。
「りん」の名前は男女どちらにもつけやすい名前ですし、「りんこ」「りんか」等の女の子の名前にも「りんたろう」「りんのすけ」等の男の名前にも使われます。
「凜とした、芯のある知性のある人になるように」という願いを込めて「凛」か「凜」の漢字を使う時、どちらを使うか決める際にはどちらが子供にとって良いか、是非考えて決めてみて下さい。
親が悩んで決めてくれたならば、どちらを使用しても喜んでくれるでしょう。