色々な場面で耳にする『馬鹿』と『阿呆』ですが、関東と関西では意味が違うことは知っていますか?
何となく聞いたことがある人も初耳の人もいると思いますので、少し掘り下げて説明していきましょう。それぞれの違いを知るととてもおもしろですよ。
『馬鹿(ばか)』
- 意味:知能の働きがにぶいこと、またそのような人
- 使い方:あいつは馬鹿なやつだ
『馬鹿』そもそもの意味は知能が低いことや愚かなことなどを表しており、良いことには使われないという印象があると思います。しかし、関東と関西でもとらえ方が全く違ってくるので使う時には気を付けましょう。
まず関東では『馬鹿』という言葉はとてもよく使われます。もちろん上記の意味合いで使われることもありますが、恋人同士や家族間などで「まったくバカなんだから~」といった使われ方をする時には、「可愛いなぁ」や「ホントしょうがない子ね」といった親しみなどを込めた意味合いになることもあるのです。
一方関西では『馬鹿』という言葉はよっぽどのことがなければ使われません。ですので、上記の意味合い以上の怒りの感情を込めた場合や、相手を侮辱する意味が色濃い場合などで使われることが多いのです。
要するに『馬鹿』という言葉は関東では軽いニュアンスで使われることが多い一方、関西では怒りや侮辱などの重たい意味を持つことになります。
『阿呆(あほう)』
- 意味:愚かなさま。また、愚かな行動、愚かな人
- 使い方:あいつは阿呆なことを言う
『阿呆』も『馬鹿』と同様に愚かなことや人などを表し、良いことではあまり使われない印象があると思いますが、こちらも関東と関西では全く違った印象を与えてしまうことがあるのです。
まず関東では『阿呆』はめったに使われず、よっぽどくだらない場合や侮辱する意味合いを含む場合のみ使われます。
一方関西では『阿呆』はとてもよく使われます。それには漫才の影響が色濃く出ており、自分のことを『アホ』として笑いを取ったり、親しみを込めた愛称として使われてきました。
そのため、関西では挨拶や親しみを表す言葉として「アホやな~」が使われることとなり、「可愛いなぁこいつ~」や「うっかり者やなぁ」などの意味を含んだ、優しさのにじみ出る言葉として使われています。
要するに『阿呆』という言葉は関東では侮辱やけなしの言葉として使われることが多い一方、関西では親しみや愛情、優しさを含む意味を持つことが多くなります。
『馬鹿』と『阿呆』の使い分けの例
こちらでは単語としての『馬鹿』と『阿呆』の使い分けについて説明したいと思います。
単語そもそもの意味として『馬鹿』には常軌を逸していることやそのさまを表すことや、社会的常識に欠けていること、機能を果たさないことなどが存在します。
これらの意味は『阿呆』にはありません。実際には「馬鹿正直」や「野球馬鹿」、「スイッチが馬鹿になる」のような使い方をします。また、強調語としてはどちらも使われますが、その場合同じことを表現するにも用法に差があるので注意が必要です。
例えば値段がすごく高いということを言いたい時には『馬鹿』は「馬鹿高い」と言いますが『阿呆』は「阿呆みたいに高い」となり、そのまま入れ替えただけでは意味が通じません。
同様にすごく暑いことを言う場合には『馬鹿』は「馬鹿に暑い」となり、『阿呆』は「阿呆ほど暑い」という表現になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。関東と関西ではほぼ真逆のとらえ方をしてしまうことがわかりましたか?自分では親しみをこめて言ったつもりでもムッとされてしまったり、悲しませてしまうなんて本末転倒ですよね。
これらの違いをしっかりと把握し、話す相手に誤解を与えないように頭の中に入れておいてください。再度簡単にまとめてみましょう。
- 馬鹿:関東では親しみを込めて使われることが多いが、関西では侮辱や怒りなどを表すことが多い
- 阿呆:関東では侮辱や蔑み、貶す場合などで使われることが多いが、関西では親しみや愛情を込めて使われることが多い。また挨拶や相性などにも使われる場合があり、その時も同じようにいいイメージとして使われている
どちらにしても、本来の意味としてはあまりいい意味はないため、よっぽど相手と打ち解けている間柄である場合以外では気軽に使わない方が無難であると言えます。
「親しき仲にも礼儀あり」とも言いますので、本当に解り合っている人だけに使うことをおススメします。