国号の「日本」の発音方法には「にほん」と「にっぽん」がありますが、その違いにはどのようなものがあるのでしょうか。ルーツは同じですので意味はほとんど同じですが、いくつかの語ではどちらかを使う傾向がありますので、それも紹介していきます。
『にほん』
- 意味:「ひのもと」を音読したときの言葉で、日本の呼称
- 使い方:日本航空、日本経済新聞
我が国をあらわす言葉として使われているものの1つが「にほん」です。国号として「にっぽん」もありますが、歴史を顧みてみると、「にっぽん」よりも後の時代にできた読み方です。ひらがな自体は平安時代に生まれましたが、「っ」という促音便と半濁音を表記方法がなかったため、「にほん」に徐々に変化していったものとされています。そうした歴史がありますので、意味に大きな違いはなく、たいていの場合はどちらを使用しても問題はありません。
国号の呼び方を統一することが以前国会で議論されたこともありましたが、現在はどちらの呼称も定着しているので、統一する必要性がないという結論にいたりました。どちらを使用するかは好みになりますが、どちらかでなければいけない場合もあります。たとえば、日本航空や日本経済新聞を音読するときなどです。これらを発音するときには「にっぽん」は誤りになりますので、注意する必要があります。
『にっぽん』
- 意味:元は日の出るところを表し、日本の伝統的な呼称「ひのもと」を音読したときの言葉
- 使い方:日本銀行、日本武道館、全日本空輸
日本の読み方のもう1つが「にっぽん」です。このように音読するのは奈良時代以降になります。大化の改新の頃に「日本」という表記が初めてされて、これを音読するときに「にちほん」という呉音読みが採用されました。これが時代の変化とともに次第に「にっぽん」と音読されるようになりました。
奈良時代以降の読み方であり、昭和9年には正式な呼称として国から国号呼称統一案として発表されました。しかしながら、「ニホン」という音読方法も人々に根強いものだったので、結局採択されることはありませんでした。現在ではどちらを使っても良いことになっていますが、場合によっては使い分ける必要があります。
使い方は日本銀行、日本武道館、全日本空輸を音読するときです。わが国のお札は正式名称を日本銀行券ですが、この読み方は「にっぽんぎんこうけん」です。実際に現物を確認してみるとローマ字で NIPPON GINKO という表記があります。
『にほん』と『にっぽん』の使い分け例
「にほん」と「にっぽん」の使い分けは特定の名詞のみに関するものであり、たいていの場合はどちらを使用しても問題ありません。
それというのも、昭和9年に国号の呼称を議論したときに「にっぽん」に決議したにもかかわらず政府からは採択されずに、正式な決定をしていないまま現在に至っているからです。実際に、法律で明確な規定もありません。もちろん、今後の展開次第でどちらかが正式呼称になる可能性もありますが、現在においては上記の状況です。
しかしながら、どちらを使うかには傾向があります。その例をいくつか紹介していきます。
日本、日本人、日本語、日本大使館、日本列島などは「にほん」と発音することが多いです。それに対して日本代表、日本一は「にっぽん」と発音する人が多いです。全体的に「にっぽん」よりも「にほん」とよむ人の方が圧倒的に多いです。これは世代別に見ても若い人も年配の人も違いはあまりありません。ちなみに、東西においても違いが出るときもあります。大阪の日本橋は「にっぽんばし」と読み、東京の日本橋は「にほんばし」と読みます。
まとめ
「にほん」と「にっぽん」と国号の読み方には2通り存在して、現在に至っても公式に定められたものはないです。しかしながら、日本人はいくつかの語に関しては使い分けています。難しい問題ですが、傾向を把握して対策して適切な言葉遣いをするように心がけましょう。