カタログとパンフレットとリーフレットとの違いは、要するに厚みの違いです。分厚い冊子形式、薄い小冊子形式、一枚物のペラ、このように理解すると飲み込みが早くなります。しかし、単にこう言っただけでは、不正確に理解になります。事情は、もう少し複雑です。
『カタログ』
カタログとは、広告の目的で商品目録を冊子形式(ブック形式)にしたもので、表紙付きでページ数の多い本格的なものを指すことが多いです。
ただし、広義で捉えることもあり、簡便な形式のパンフレットやリーフレットを含むことがあります。製造メーカーや通販会社などが、製品または商品のカタログを作成したりします。これらは一般に厚みのある本格的なものです。ただし、商業目的でないものもあり、図書館の蔵書目録がライブラリー・カタログと呼ばれるなど、聞き慣れない用法もあります。
結局、この言葉は、目録としての意味が本来の意味であり、商業的広告手段という意味は、後から付加されたものであることが分かります。言葉の意味は、時代により地域により分野によって、特殊な意味が付加されたり、意味が微妙に変化しますので、本来の意味がどうであったかを知ることで、その言葉の理解が深まることがあります。そこで、本来的意味を根幹としながらも、広く認知されている今日的意味を知ることが重要になることもあります。
『パンフレット』
パンフレットとは、広告の目的で商品目録を小冊子形式にしたものを言います。
表紙がありブック形態は取るものの、ページ数が少なく、仮綴じの簡易製本にしたものです。略してパンフとも呼ばれます。変則的で特殊な形態として、二つ折りにした印刷物を入れ子状態にして挟んだだけで、綴じていないものもあります。分かりやすく言えば、新聞のような形式です。
ブックレットという言い方もあり、パンフレットと同様に薄い小冊子を意味しますが、これは必ずしも広告目的ではなく、販売を目的とした簡易な出版物(薄手の書籍)の意味で用いられることがあります。ブックとパンフの中間的なページ数の冊子という意味で、ブックレットと呼ばれることもありますが、曖昧すぎるため、定着した意味でもありません。
パンフレットの本来的意味は、小冊子としての意味しかなく、ブックレットの本来的意味と同じです。広告手段の意味は、後から付加されたものです。どんな言葉でも、特定の分野で使われることが圧倒的に多いと、その分野特有の特殊な意味が加わることがあります。
『リーフレット』
リーフレットとは、広告の目的で商品目録を一枚刷りの印刷物にしたものです。
具体的には、折り目のないもの、二つ折りのもの、三つ折りのもの、アコーディオン折りにしたもの、その他の折り方のものがあり、表紙はついていません。これは、一枚の紙だけからできていて、折り畳むことはあっても、糊で貼り繋いだりすることはありません。片面印刷のものと両面印刷のものとがあります。
リーフレットは、安価に製作できることもあり、古くから世界中で大量に製作された広告印刷物です。チラシと呼ばれるものがこれです。古いチラシ類は、一部の図書館などで収集保管されているものもあり、歴史の史料としても価値のあるものが含まれています。これらは、用済み後に捨てられる運命にあり、残存しているものは極一部に過ぎません。
リフレットの本来の意味は、一枚刷り印刷物としての意味しかありません。広告のチラシとして盛んに利用された形式のため、広告手段の意味が加わりました。カタログもパンフレットもリーフレットも、このあたりの事情は全部同じです。
まとめ
カタログ、パンフレット、リーフレット、この区別は難しいものではありませんが、厳格な区分基準があるわけではなく、リーフレットは50ページ未満と定義されることがありますが、誰もがその区分に従って呼び名を区別しているわけでもありません。また、このどれにも該当しない変則的な構造のものもあります。