あなたの『地元』はどこですか、『出身地』はどこですかというのはよく互いの関係を知るためにする質問としてよくあるでしょう。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。似ている表現も考慮して違いを明確にしましょう。
『地元』
- 意味 :その人に直接関連性が深い土地。勢力範囲となっている地域。
- 使い方:地元の人は地域についてよく知っている。
『地元』は「その人が直接関係を持っている地域」を示すのが基本的な意味です。その土地で生まれたかどうか、住んでいたかどうかは必ずしも関係はなく、何らかの形で強い関連性が生まれていたり、勢力を獲得していたりする際に用いられます。
最も典型的なのは現在その地域に住んでいることを示す表現として活用する方法です。特にその地域から一時的に外に出ているとき、自分が住んでいる地域を指して用いるのが一般的です。また、必ずしも今は住んでいなくても、長く住んできていて単身赴任などで今は他の地域に住んでいるというときにも用いられます。
一方、住んだことが一切なくても、会社がその地域にあって勢力圏としている場合には使用することが可能です。政治家の活動地域を示す場合にもよく用いられる表現であり、この場合には勢力圏という表現で置き換えることができるでしょう。関連性が深い地域を全般的に表す表現なのです。
『出身地』
- 意味 :生まれ育った地域。
- 使い方:幼い頃から転勤族で出身地が決めにくい。
『出身地』は「生まれ育った地域」という意味ですが、明確な定義がないことから判断が難しい場合もあります。出生地は生まれた場所であり、本籍は戸籍によって法的に住んでいる場所として定められているものです。しかし、法的な定義がないことから漠然と生まれ育った地域を示すことになってしまっています。
国土交通省からは「15歳までの間に一番長く過ごした場所」という見解がありますが、必ずしもそれが全ての人に共通する理解ではありません。自分の意識として幼少の時代に過ごした印象が深く、今の自分に影響を及ぼしている地域という考え方を持つと良いでしょう。生まれてからすぐに別の地域に引越して育ったという場合には引越し後の地域が該当すると考えるのが無難です。
しかし、生まれて5年程度は同じ地域にいて、それから引越したというときにはどちらの地域を選ぶかは、どちらの生活の影響が今の自分に出ているかを考えて判断するのが賢明でしょう。
『地元』と『出身地』の使い分け例
『地元』と『出身地』はあまり直接置き換えて比較しやすい例がありません。「私の地元は東京都です」というときには、今は東京都に住んでいたり、仕事の本拠地が東京になっていて地域に詳しいという意味合いになります。
それに対して「私の出身地は東京です」という場合は必ずしも今は東京に住んでいるわけではないのです。生まれ育った地域が東京であるだけで、今の東京の姿については何も知らないこともあります。
もちろん、「私の出身地は東京で、地元でもあります」と表現することも可能です。ただし、この場合に東京で生まれ育って、それからずっと住んでいるという意味であるとは限りません。東京で育った後、別の地域に住んで再び東京に戻ってきたという可能性もあるからです。
しかし、幼少の頃も今も東京にしっかりと深い関連性を持っていると伝えることができます。「出身地に戻る」「地元に戻る」という表現も意味合いに違いがあり、出身地に戻る場合には生まれ育った地域に引越しをすることになりますが、地元に戻る場合には一時的に他の地域に住んでいた状況から、本来住んでいるはずの地域に単身赴任などから戻る意味になるでしょう。
まとめ
自分に関連性が深い地域を示す言葉として使用できるのが『地元』と『出身地』です。今、深いつながりがある地域は『地元』であるのに対し、幼少の頃に生まれ育った地域としてつながりが深かった地域が『出身地』となります。