お湯に食材を入れるという意味ではほとんど違いが感じられない調理法として『茹でる』『湯がく』があります。この2つの調理法は似ているようであって、実際に行う作業と目的には違いがあるので注意して使い分けましょう。
『茹でる』
- 意味 :熱湯を使って食材を煮て十分に火を通す。
- 使い方:お昼にはパスタを茹でて食べることにしましょう。
『茹でる』は「熱湯に食材を入れて十分に加熱する」調理法です。調理している食材が食べられる状態になるように中心にまで火を通すことを意味しています。
また、さらに熱湯の中で加熱を続けると「煮る」あるいは「煮込む」という調理法になりますが、この境界線は明確に定義されているわけではありません。『茹でる』という調理を行った場合には必ず食材が食べられる状態になるまで加熱し、場合によっては食感が適している段階になるまで加熱するという意味も持ちます。
食感が食べるのに適している点を境界線として「煮る」との区別をするという解釈もあるため、適度に熱湯の中で加熱することにより食べられる用にするのが『茹でる』という理解をしておくと良いでしょう。
まだ食べられない状態までしか加熱しないという場合には使用することができません。そのときには「十分に茹でられていなかった」と表現して再度適切な調理を行う必要が生じます。
『湯がく』
- 意味 :食材を熱湯に浸したり短時間だけ煮たりする。
- 使い方:ごぼうは少し湯がいてから料理に使うと風味を損なわない。
『湯がく』は「食材を熱湯に浸したり、短時間だけ煮たりする」調理法です。一般的には下ごしらえに用いられる調理法として知られています。さらに短時間の加熱になると「湯通し」という表現が適切です。
ただ熱湯にさっとくぐらせたり、熱湯をかけたりするだけの「湯通し」とは異なり、ある程度の時間は熱湯の中に食材が入っています。明確に境界線が定められているわけではありませんが、ある程度は加熱するという作業が入ってきた場合には『湯がく』という調理法になると理解すると良いでしょう。
ただし、加熱をしすぎて十分に食べるのに適した状態になってしまうと『茹でる』になってしまいます。あくまで下ごしらえとして用いて、アク抜きをしたり色落ちを避けたりする目的で行われます。
一方、『茹でる』場合には沸騰している熱湯を用いるのに対して、それよりも低い温度で火を通すという意味でも用いられる場合があるので注意しましょう。
『茹でる』と『湯がく』の使い分け例
『茹でる』と『湯がく』の違いは調理して食べられる状態にするか下ごしらえかという点と、加熱をする時間の長さです。
「なすを茹でて準備しておく」というときには、なすが食べられる状態になるまでしっかりと熱湯で加熱をしておくという意味になります。食事の準備をするために茹でなすを作ろうと考えている状況が一般的でしょう。これからお客様が来るから予めなすは茹でておくという意味にも解釈可能です。
一方、「なすを湯がいて準備しておく」というときには、下ごしらえとしてなすを軽く熱湯で加熱したという意味になります。なすの皮から出てしまう色素を先に取り除く下ごしらえとして行ったり、これから炒め煮をする際に火がすぐに通るようにしておいたりする意図が伺えるでしょう。
同様にして「こんにゃくを茹でる」というときには食べられるようにお湯で加熱する意味がありますが、「こんにゃくを湯がく」という場合はこんにゃくのアク抜きのためにお湯で処理することになるのです。このようにたった一つの言葉の違いで方法も目的も明確に区別できます。
まとめ
熱湯を使って食材を処理する方法として『茹でる』は食べられるようになるまで十分に加熱する意味があります。それに対して『湯がく』は短時間の処理で下ごしらえをするのが一般的です。「煮る」「湯通し」とも一緒に区別して使用しましょう。